56年の歴史に新たに加わった新型センチュリーはSUVではない! 次の100年を見据えた22世紀のショーファーカーだった (1/2ページ)

この記事をまとめると

■かねてから噂となっていたSUVタイプの「センチュリー」がついにデビューを果たした

■トヨタは新型センチュリーをSUVではなく22世紀のシューファーカーと位置付けている

■新型センチュリーはテーラーメイド的にさまざまな仕様を作り上げることができる

SUVではない、これが新型の「センチュリー」だ

 まだまだ残暑厳しい2023年9月6日、東京・有明アリーナにてトヨタ・センチュリーがワールドプレミアされた。アルファード/ヴェルファイアが発表された際に、その存在が明らかとなっていた通称センチュリーSUVの世界初公開にふさわしい大舞台だ。

 と、思いきや新型モデルには”SUV”といった文字はなく、ステージ上に登場した新型センチュリーは、シルエットこそ2BOX的だが、けっしてSUVという雰囲気ではなかった。

 センチュリーはトヨタの誇りが詰まった名前であり、モデルである。有明アリーナに降臨した新モデルはまさしくセンチュリーであって、それ以上でもそれ以下でもない「ザ・ショーファー」と呼ぶにふさわしいニューモデルだった。

 いうまでもなく、センチュリーというのは「100年」を意味する英語である。じつは1967年に誕生した初代センチュリーには、トヨタの祖といえる豊田佐吉氏の生誕100周年に由来するという意味も込められていたという。

 それでは、新型センチュリーがその名前に込めた思いとは……、次の100年を見据えたショーファーカーである。実際、ショーファーカー(=専属運転手が走らせ、オーナーは後席に乗るクルマ)の定義は変わりつつある。

 2018年にセンチュリーが3代目にフルモデルチェンジしたときには、ショーファーカーの本流はセダンであった。いまでもロイヤルなVIPの方々が乗るクルマとしてはセダンが選ばれているが、企業トップなどのエグゼクティブについてはトヨタ・アルファードに代表される高級ミニバンを選択するケースは増えている。

 そうした時代の変化を踏まえ、「次の100年を見据えたセンチュリー」としてゼロからパッケージが考えられたという。移動手段というだけでなく、隙間時間でリラックスしたり、はたまたビジネスの執務室となったりするのが昨今のショーファーカーに求められる。

 さらに、ショーファーカーには後席に乗るVIPの品格を演出することも求められる。具体的には到着と出発がいかにエレガントでスムースであるかが重要だ。たとえば、乗り降りの所作において品を感じさせるパッケージとなっていることは、ショーファーカーには欠かせない機能となる。出迎えや見送りをする人との視線の位置関係もイメージを左右するという。

 そうして導き出されたパッケージが新型センチュリーのそれである。

 センチュリーSUVという噂が広まっていたこともあって、新型センチュリーはSUVムーブメントに迎合したプレミアムモデルという風に思ってしまうかもしれないが、あくまでも2120年代まで通用するショーファーカーのパッケージを考え抜いた結果が、このフォルムといえるのだ。

 リヤドアに連動してサッと展開する電動格納式ステップや、75°まで開くドア、大型アシストグリップといったアイテムは、いずれもセンチュリーらしい乗降性の必然から採用されたという。

 後席の窓ガラスが調光タイプとなっていて、スイッチ操作で一瞬にして非透過ウインドウに変わるというのも、いかにもスマート。たしかに新時代のショーファーカーといえるパッケージである。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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スズキ・エブリイバン(DA17V・4型)/ホンダCBR1000RR-R FIREBLADE SP(SC82)
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