国産最強のショーファーカーはどっち? センチュリーと新型アルファードを徹底的に比べてみた (1/2ページ)

この記事をまとめると

■ショーファーカーとして見た場合、センチュリーとアルファードのどちらが優れるかを比較

■いずれもショーファーカーとして十分な装備と資質を有している

■居住性や先進性ではアルファードが勝るが快適性や奥ゆかしさではセンチュリーが圧倒する

伝統のセンチュリーと新世代代表のアルファード

 日本を代表する高級車といえば、真っ先に浮かぶのが、皇室御用達でもあるトヨタ・センチュリー。そして近年、クラウンやレクサスLSといった高級セダンに代わって経営者、VIP、芸能人に愛用されているのがトヨタの最上級ミニバンとして君臨する超人気車種であるトヨタ・アルファードだ。

 ここでは、両車のショーファードリブンカーとしての資質をさまざまな面から比較してみた。

 まず、価格。センチュリーはモノグレードで2008万円! アルファードは現時点でエグゼクティブラウンジとZグレードの2グレード展開だが、エグゼクティブラウンジのハイブリッドE-Fourともなれば872万円という値付けとなっている。

 センチュリーとアルファードのエグゼクティブラウンジは、いずれもショーファーカーとしての需要を狙った車種である。また、いまどきのクルマとして、両者ともにハイブリッドを用意している点(センチュリーはハイブリッドのみ)も共通する。

 エクステリアは、センチュリーの場合、皇室御用達であることもあって、ひと目で特別感がある。アルファードはたとえ黒塗りでも、VIPだけでなく一般ユーザーが乗っているケースもあり、街を走る台数も多いことから、高級ミニバンとの認識はあっても特別感は薄まる。が、顔の迫力、押し出し感では分厚く巨大なフロントグリルを備えたアルファードのほうが上まわる印象を持つ人が多いはずである。

 インテリア全体の雰囲気は、ショーファーカーとして後席に絞って見れば、4代目アルファードはプライベートジェット感覚、先進性、豪華さが際立つ。一方、センチュリーの後席はオリエンタルな豪華さ、仕立ての良さが持ち味となるだろう。

 ショーファーカーとして重要なのは、まずは後席の乗降性だと考える。VIPが優雅な姿勢のまま、乗り降りできることが大切だ。ときには着物姿のVIPの夫人を乗せることもあるはずで、その点ではドア開口部の高さ、幅に余裕があるボックス型ミニバンならではの大開口スライドドアが優位。新型アルファードはステップ、フロアがTNGA GA-Kプラットフォームの採用でやや高まってはいるが、ショーファーカーとしてはまず付けるであろうオプションのユニバーサルステップを使えば、1段目のステップは地上220mmとなる。

 また、センチュリーのリヤドアを運転手またはドアマン、スタッフが開ける動作と、パワースライドドアが自動でスルスルと開くのとどっちがエクスクルーシブかと言えば、考え方にもよるが、ヒンジ式ドアを開ける動作のほうがより手厚いVIPのもてなし感にはつながるようにも思える。

 後席の居住性、寛ぎ度は、センチュリーも全長5335×全幅1930×全高1505mm、室内長2165×室内幅1605×室内高1185mm(アルファードは同4995×1850×1935mm、3003×1660×1360mm)という貫禄のボディサイズを持つだけあり、またあくまでショーファーカーとして後席重視のパッケージングだから、頭上方向はボックス型ミニバンのアルファードに敵わないとしても、足もとの広さは文句なしといっていい。

 なにしろオットマンを出して、大人が足を真っすぐに伸ばせるだけのニースペースがあるのだ。リヤドアを開けるとリヤシートが自動的に後方に動き、降車性を高めてくれるドア開連動リターン作動機能があり、後席専用の取説が用意されていたりするのだから徹底している。

 一方、エグゼクティブラウンジシートは70度(実際にはほぼフルフラット感覚)のリクライニングが可能で、車内で就寝……という使い勝手では上まわる。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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