クルマのホイールをよく見ると「金属の板チョコ」みたいなものが貼ってある! 見栄えが悪くても外しちゃダメな重要パーツだった (1/2ページ)

この記事をまとめると

■ほとんどのホイールには内側に金属製のチップが貼り付けられている

■ホイールのに貼り付けられた金属製チップは「ホイール・バランサーウエイト」で重要な役割を担っている

■「ホイール・バランサーウエイト」でタイヤの重量の偏りをなくすことで振動が発生しないようにしている

回転するタイヤ&ホイールの重量バランスを整える目的

 このサイトの記事を読まれている読者さんの多くはクルマ好きだと思います。ですので、愛車の洗車は自分で行っているという人も少なくないでしょう。思い入れがある人ほど細部までキレイにしたいと思うでしょうから、きっとスポークの隙間から見えているホイールの裏の方も丁寧に洗ったりしているのではないでしょうか。

 そのときにホイールのリム面にくっついている、板チョコの一部のような形状の金属製のチップが気になったりしていませんか? あの、釣りで使う重りのような色合いのチップです。あれの付け根にどうしても汚れが残ってしまって邪魔だなと感じている人もいるでしょう。

 でもあのパーツは、クルマが安定して走るためには必要なものなので、外したり付け直したりしないほうがいいですよ。

 ここではあの金属製のチップ=ホイール・バランサーウエイトについて解説していきましょう。

■あの金属チップはいったいなに?

 あの金属製のチップの正体を知らなくても、理系の人なら「ホイール・バランサーウエイト」という名称を聞いて、だいたいの働きを察せられるかもしれません。

 あのチップの働きは、ホイールの重量バランスを整えるためのウエイト(重り)なんです。

■あの重りが無いとどうなるの?

「ホイール・バランサーウエイト」は、ホイールとタイヤ全体の重量の偏りをなるべくゼロに近づけるための重りです。ほとんどのウエイトの素材は、金属のなかでも比重の高い「鉛(なまり)」で作られています。

 バランサーウエイトは機能優先のつくりなので見た目がイケてなく、せっかくデザインが気に入って購入したホイールの美観を損なうから邪魔だと思った人もいるでしょう。しかしあのウエイトをむやみに外してしまうとホイールのバランスが崩れて振動が発生する可能性が高くなります。

 レンタカーや代車などを運転していて、高速に乗ったときにハンドルにブルブルとした振動を感じたことはないでしょうか? あれは、ホイールバランスの偏りによって発生する振動なんです。

 みなさんも日常、スマホを肌身離さず持ち歩いていると思いますが、あのバイブの振動がホイールの振動と同じ原理で発生しているんです。スマホの振動を発生させているのは、小さいモーターの軸に付けられた扇形の断面の小さな重りです。キレイに回転する円形の断面ではなく、わざと中心が偏るように扇形にしています。中心がズレて割り箸が刺さったリンゴ飴をクルクルまわすとぶるんぶるんとブレを感じますよね。あれが振動発生の原理です。

「たかが振動でしょ?」と思ってそれを放置すると、いろんなダメージがクルマの各部に蓄積されていきます。もっとも深刻なのはネジ類の緩みでしょう。クルマはエンジンという振動の発生源を抱えて動く乗りものなので振動の対策は必ず行われていますが、高速で回転する重いタイヤによる振動の力はかなり大きなものです。

 ハンドルにまで伝わるくらいなのでなんとなく想像してもらえると思いますが、その振動によって足まわりのパーツがブルブルと揺さぶられるので、いくらしっかり締め付けてあっても、長時間は耐えられません。一度緩みが発生してしまうと、パーツの脱落まではそれほど時間を要しません。

 最悪のケースは、舵が利かなくなってコントロールが失われることもあり得ます。


往 機人 OU AYATO

エディター/ライター/デザイナー/カメラマン

愛車
スズキ・ジムニー(SJ30)※レストア中
趣味
釣り/食べ呑み歩き/道の駅巡りなど
好きな有名人
猪木 寛至(アントニオ猪木)/空海/マイケルジャクソン

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