ポルシェ好きなら「じゃないほう」のミュージアムも訪問必須! 本物のファン感涙のレア展示がヤバい (1/2ページ)

この記事をまとめると

ポルシェには本社隣接とは別に創業の地オーストリア・グミュントにもミュージアムがある

■グミュントのミュージアムはもともと私設であったが現在はポルシェAGが運営をしている

■ポルシェ創業地らしく初期作品も多い歴史を感じさせるミュージアムとなっている

もうひとつのポルシェ博物館

 現在はシュツットガルトに拠を構えるポルシェAGだが、75年前の1948年、同社はオーストリア・グミュントで起業、生産を開始している。設立者は、乗り物の設計に関して鬼才と言われたフェルディナント・ポルシェの息子フェリー・ポルシェだ。ポルシェは、戦前の1930年代初頭から設計事務所を構え、ツェンダップやヴァンダラー、アウトウニオンなどの依頼を受けて車両、あるいはエンジンの開発・設計を行っていた。言ってみれば、ドイツ・モータリゼーション史の中核的な存在だったことになる。

 そのポルシェが、1948年、オーストリア・グミュントに「ポルシェ製造会社」を設立。戦後、第二次世界大戦の敗戦国(と言うより、歴史観は戦犯国)であるドイツの企業を接収しようという動きがあり、ポルシェはこれを避けるため隣国オーストリアで起業する運びとなったものだ。

 こうしたポルシェ発祥の地であるグミュントに、じつはもうひとつのポルシェミュージアムが存在する。シュツットガルトのミュージアムは、ポルシェAGが直接、管理・運営するミュージアムだが、このグミュントのミュージアムは、「ポルシェ自動車ミュージアム ヘルムート ファイフホーファー」という施設名が示すように、個人が私設ミュージアムとして設立したものだ。

 設立は1982年。風光明媚なオーストリアの高原地、グミュントに設立されたこのミュージアムは、もちろんポルシェ車全般についての展示を行っているが、その主力はポルシェの創始者、フェルディナント・ポルシェ博士が携わった車両を核としている。グミュントは、フェルディナント・ポルシェとポルシェ社の創生期、シュツットガルトはポルシェ社全般の車両と同社の足取り、将来像を示す形で運営、展示されている。

 建屋は2階建て。展示車両は1階に10台弱、2階に20数台が並べられている。1階のエントランスから入ってすぐの小部屋に、VWビートルに始まるフェルディナント・ポルシェ博士の設計による一連の空冷水平対向エンジンが展示されている。

 発端はVWビートル用の1.1リッター369型空冷水平対向4気筒として始まっているが、戦後ポルシェブランドとして356の生産が始まると、主力は616/692型の1582cc1.6リッターエンジンに発展。最終的にはカレラ2で使われた1966ccDOHCの587型まで作られている。

 なお、この587型エンジンは、最終型で3型に進化しポルシェ904の4気筒仕様車に搭載されている。


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