新型より「先代の最終型」のほうが満足度高いってどういうこと? クルマは「最新こそ最良」とは限らない理由とは (1/2ページ)

この記事をまとめると

■クルマによっては新型よりも先代最終型を選んだほうが満足度が高い場合もある

■筆者はあえて新型モデルよりも先代後期モデルを購入した

■新型車と先代最終型を比較して購入する際にはよく熟考してから購入するべし

必ずしも新型の満足度が高いとはいえない

 2023年から2024年にかけては、続々と新型車が登場する。しかし、新型を買うことだけが、ベストな買い方と言えないことがあったりする。

 たとえば、2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したトヨタ・プリウスであれば、それはもう新型を買うべきだ。先代までは実用ハイブリッドカー然としていたものの、新型は流麗なクーペスタイルとなり、プリウスの歴史を先代までと分断した、どこから見ても、走っても魅力あふれる新型、世界に誇れる新時代プリウスだからである。

 が、現行モデルとこれから出る新型車で内容が大きく変わらない、あるいは部分的に後退(!?)したところがある……といった車種や、半導体不足と新車効果で新型の納期は遥か先……となれば、車種にもよるが、現行型(先代)の最終モデルを狙う価値はある。最終モデル(とくに特別仕様車)はすでに生産され在庫があり即納が可能なだけでなく、その世代の集大成としての熟成はもちろん、装備面でもかなり充実していることがほとんどだからだ。

 ホンダ・オデッセイのように、5代目の国内仕様が2021年に生産終了となり、この2023年12月に中国仕様で復活させた例ではちょっとややこしい。国内生産の5代目最終モデルを手に入れるには中古車でしかないものの、中国生産の5代目復活版オデッセイと基本部分やおそらく走行性能が変わらないことを考えれば、純日本生産の、初期型では固すぎた乗り心地が改善されて装備面でも充実した5代目最終型の中古車をいま手に入れることは、オデッセイファンとして悪くない選択と言えるかも知れない。どちらがどっちか、気づく人はそうはいないはずでもある(継続モデルゆえ)。

 今後に登場するスバル・フォレスターにしても、現行型は先進運転支援機能のアイサイトなどがすでに充実していて走破性を含めて満足できる内容であり、最低地上高は新旧同じ220mm。かつ、そもそも北米市場が主戦場のフォレスターの新型は、全長、全幅、全高ともに拡大していて、現行型のサイズが自宅駐車スペースでギリギリ……というのなら、いまのうちに5代目の現行型の新車を手に入れる意味は十分にあると思える(即納性を含め/2023年12月8日時点で約2カ月)。

 じつは、筆者のいまの愛車も、新型車の登場で先代モデルとなった最終型をあえて選んでいる。2014年にVWゴルフ7ヴァリアントの初期型を購入し、次に選んだのも同じVWゴルフヴァリアント。それも同世代の進化系である7.5型で、8型に代わる直前の最終年、2020年型ハイライン・マイスター(プレミアムサウンドシステムDYNAUDIOパッケージ付き)という特別仕様だ。

 そもそも個人的にゴルフは第7世代が完成形だと強く思っていて(国産自動車メーカーの開発陣もそう考えて7の後期型をベンチマークにしている例あり)、その世代の最後を飾る7.5マイスターは、デジタルメータークラスター、純正インフォテイメントシステム、駐車支援システム、本革パワーシート、シートヒーター、専用デザインアルミホイールなどを標準装備する、熟成の極み、装備てんこ盛りのゴルフとなっているのだ(ハッチバックのゴルフ・マイスターも同様)。

 もちろん、最新世代のゴルフ8のことは十二分に知っている。しかし、ゴルフ7の完成度に驚き、愛車として長年乗り続けてきた経験から(筆者は2013-2014日本カー・オブ・ザ・イヤーで輸入車初の日本カー・オブ・ザ・イヤーに輝いたゴルフ7に選考委員として満点を配点している)、デザインや走行性能などで、むしろ7.5の最終型のほうに、あくまで個人的な思いとして、ドイツ車らしさやゴルフらしさを含めた魅力を感じたのだ。

 細かいことを言えば、ボンネットの開閉がゴルフ7、7.5はダンパー付きなのに対して、8ではダンパーなしになり、ディスカバリープロと呼ばれるマルチインフォテイメントシステム、ナビゲーションの使い勝手、そしてエクステリアデザインも、7.5のほうが個人的に使いやすく好み、という判断もあった。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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