ほぼ同時に新型になったホンダN-BOX vs スズキ・スペーシア! 全方位で真っ向勝負させてみた (2/2ページ)

機能面ではスペーシアに若干軍配が上がる

◆走行性能

 走行性能はどうだろう。実際に両車の標準車のNA、カスタムのターボモデルに試乗した結論としては、走行中の車内の高い静粛性はほぼ互角。しかし、乗り心地面ではN-BOXが優位となる。

 N-BOXは先代後期モデルでも、下手なコンパクトカーを凌ぐ、路面を問わない上質かつ快適な乗り心地を示してくれたのだが、新型ではそれをさらに上まわる、もはやコンパクトカーに代わるクルマといっていい走行性能を実現しているのだ。

 NAモデルでも街乗り中心なら動力性能にまったく不満なく、カスタムのみとなったターボモデルに至っては、高速走行もラクラク快適にこなしてくれる、「走らせているクルマが軽自動車とは思えない」実力を身につけているのである。

 一方、新型スペーシアは、一段と高まったボディ剛性の高さを実感できる乗り味が特徴で、良路での乗り心地は文句なしなのだが、とくにカスタムターボ(15インチタイヤ)の乗り心地は硬めで、荒れた路面や段差の乗り越えでの突き上げ、ショックが少なくない。現時点で乗り心地のいい新型スペーシアを選ぶなら、標準車、カスタムの14インチタイヤ装着車ということになるだろう。

◆燃費性能

 燃費では、さすがに全車マイルドハイブリッドで、スズキの特徴と言える徹底した軽量化による車重の軽さからスペーシアが優位。スペーシアはNAモデルで最高23.9km/L、カスタムターボでも21.9km/L(いずれもFF)を誇っている。N-BOXはNAモデルで21.6km/L、カスタムのみになったターボモデルで20.3km/Lとなる(NAとターボの差があまりないのは立派)。

◆機能装備(先進運転支援機能含む)

 N-BOXは最新のホンダセンシングを全グレードに搭載(電子パーキングブレーキとオートブレーキホールド機能も全グレードに標準装備)。スペーシアも最新のスズキセーフティサポートを全グレードに標準装備する。とくにスペーシアは純スズキ車初の電動パーキングブレーキとオートブレーキホールド機能を新採用(カスタムと標準車のセーフティプラスパッケージ装着車のみ)。

 しかも、ACC(アダプティブクルーズコントロール/カスタムと標準車のセーフティプラスパッケージ装着車)に、N-BOXにはないカーブ速度抑制機能を追加。一般的なACCでいったん速度設定をすると、カーブに差し掛かってもそのままの速度を保つため、曲がり切れない場合、ブレーキからのACCの再始動が必要になったりするのだが、スペーシアはカーブを認識し、速度を抑制してくれるから快適・安心である。

 なお、あおり運転被害の際にも安心のSOSコール(オペレーター接続)は両車に用意されている。

 と、このように、同じジャンルの人気軽自動車の最新モデルでもそれぞれに特徴があり、使い勝手や便利機能、走行性能や燃費性能などで違いがあるのだが、どちらがいいかは使い方によって人それぞれ。ざっくりいえば、乗り心地に優れるN-BOX、後席シートの機能、サーキュレーターやテイクアウト対応といった使い勝手面、燃費性能で光るスペーシアということになるだろうか。

◆愛犬家と愛犬対応

 最後に、後席に愛犬を乗せてドライブする機会の多い愛犬家と愛犬対応については、先代同士では「ホンダドッグシリーズ」の純正ドッグアクセサリーが充実したN-BOXが優位だったものの、新型スペーシアでは純正アクセサリーに新しい後席用ペットアイテムを2点追加。後席用のサーキュレーターの用意もあり、新型同士のペットフレンドリー度ではほぼ互角になったと言っていい。

 この点については、今後、機会があれば詳しく比較、報告したい。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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