基本同じクルマなのになんで値段に差がある? MTとATの価格が異なるワケ (2/2ページ)

ATはMTよりもおおよそ10万円くらい高い

 その一方で価格の異なる車種も多い。ロードスター1.5Sスペシャルパッケージでは、ATがMTに比べて11万5500円高い。両タイプでは装備も異なり、ATにはアイドリングストップやアイ・イー・ループなどの環境技術が採用され、燃費数値も少し優れる。

 その代わり、MTにはリヤスタビライザー、ボディを補強するトンネルブレースバーなどが装着されるから、ATの価格がMTに比べて11万円以上高まると割高になってしまう。ロードスターではMTの販売比率が高いから、量産効果を利かせやすく、価格訴求力を強める目的もあってMTを割安にした。

 GR86 RZでもATの価格はMTに比べて9万8000円高い。ATは価格が高い代わりに、車間距離を自動制御できるクルーズコントロールがATの機能を生かした全車速追従型に変更される。後退時ブレーキアシストなども加わる。それでも約10万円の価格差は大きくMTが割安だ。

 ジムニーXCは衝突被害軽減ブレーキは装着されるが、運転支機能は採用していない。ATとMTの装備はほぼ同じだが、4速ATの価格は5速MTよりも9万9000円高い。ジムニーは前述のスポーツカーと違ってATの販売比率が高く、量産効果を考えるとMTとの価格差はなくなりそうだ。それでもMTを安くした背景には、ジムニーは昔はMTのみで、ATは価格を高めて進化してきた事情がある。ATが高価になる伝統的な価格のヒエラルキーをいまでも踏襲している。

 以上のようにATとMTの価格差を見ると、同価格で設定する車種がある一方、いままでの価格推移、装備の違い、生産台数などに基づき、ATの価格をMTよりも高く設定する車種が目立つ。

 それなら逆にMTの価格がATよりも高い車種はないのか。じつはこのパターンもあり、コペンではMTがATを2〜3万円上まわる。

 しかも安価なATには、MTに装着されないアイドリングストップが備わり、マルチインフォメーションディスプレイの機能も充実する。ATが一層割安になるわけだ。いまのダイハツの前輪駆動車では、MTは少数派になり、コストと価格が高まってしまったのだ。


渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
趣味
13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
好きな有名人
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