まるで絵本の中のクルマ! 欧米の救急車が超個性的だった (1/2ページ)

この記事をまとめると

■はたらくクルマは各国で人気でやはり救急車もご多分に漏れずマニアが大勢いる

■イタリアではアルファロメオF12バンやフィアット600ムルティプラなどが救急車となっていた

■メルセデス・ベンツのエステートやシボレーのパネルバンも救急車として実際に使用されていた

世界に目を向けると乗ってみたくなるような救急車があった

 人は誰しも救急車や霊柩車のお世話になりたくはないもの。とはいえ、救急車に乗ったことのない方ならば、装備や乗り心地が気になるかもしれません。まして、ちょい古でキャラが立ってるクルマが救急仕様だったりしたら、がぜん興味もわくというもの。はたらく系のクルマは各国で根強い人気ですが、やはり救急車もご多分に漏れずマニアが大勢いるようです。

アルファロメオ F12

 イタリアの情熱を一身に背負ったかのようなブランドイメージがあるアルファロメオですが、じつは商用車だってたくさん、しかも魅力的なモデルを作ってきました。

 この救急車に仕立てられているのは、1968年の「ロメオ3」バン。ロメオは1954年に同社が作ったトラックで、ジュリエッタの1.3リッターツインカムエンジンをデチューンして搭載するなど、なかなかアルファロメオらしいスペックです。もっとも、37馬力といいますから、どちらかといえば商用車らしく「粘り強い」系チューニング(笑)。

 搭載ミッションはお馴染みのZF製4速で、それまでのロメオと違って油圧式クラッチを採用していました。また、ディーゼルエンジンも途中で用意されましたが、スーパーチャージャー付き2気筒という奇特なタイプだったためか、極めて不評だったとのこと(笑)。

 注目すべきは、フロントに輝く縦グリルでしょうか。アルファロメオのラインアップらしさ満点で、これだけでF12が欲しくなるアルフィスタだっているかもしれません。

 なお、ロメオシリーズは1983年までと長寿モデルだったほか、スペインのFADISA(Fabricacion de Automoviles Diesel SA)がライセンス生産をするなど、商用車としてのパフォーマンスは高く評価されています。

フィアット600ムルティプラ

 1956年のブリュッセルモーターショーで発表されたダンテ・ジアコーサがデザインしたフィアット600ムルティプラは、巧妙きわまりないパッケージで、現代でも語り継がれているモデル。ムルティプラは、イタリアの狭い市街地に完璧に適したサイズと、効率的な室内空間により、1970年代後半までイタリアの大都市のストリートシーンの定番だったといえるでしょう。

 実用的であると同時に汎用性が高いフィアット600ムルティプラは、数え切れないほどのバリエーションが生まれました。その多くはタクシーでしたが、消防車や救急車に仕立てられたものも少なくありません。

 こちらはトリノのカロッツェリア「コリアスコ社」によるカスタムで、キャビンはフルサイズのストレッチャーを収容できるように完全に作り直され、救急の目印となる回転灯も追加されています。

 ちょこまかとイタリアの街路を走るのは絵になる気もしますが、一刻を争うような搬送にはどんなもんでしょう。エンジンが唸るばかりで、なかなかスピードが乗らなかったりするでしょうから、運ばれるほうとしては微妙かもしれません(笑)。


石橋 寛 ISHIBASHI HIROSHI

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