「神の手で作られたサーキット」と呼ぶものさえいる世界の至宝! 鈴鹿サーキットがF1ドライバーからもファンからも愛されまくる理由 (2/2ページ)

世界でも類を見ないテクニカルコース

 コースレイアウトは、世界的にも珍しい8の字形で、立体交差を設けることで、右まわりと左まわりのふたつの要素を持っているのが大きな特徴。

 これは鈴鹿の設計および工事監修を行なったジョン・フーゲンホルツ(オランダ人)が、「タイヤの片方だけが減ってしまうのを防ぐために立体交差をつくって8の字にすればタイヤの両サイドが削れるようになる」と提案したため。

 現在の鈴鹿サーキットの全長は5807mで日本最長コース。丘陵地の地形をそのまま活かしているのでアップダウンもあり、東コースは複合コーナーの第1・2コーナーからはじまり、S字、逆バンクやダンロップとテクニカルなセクションが続く構造で、セクター1はドライバーのスキルが如実になる。

 デグナーも攻めがいがあるが、ミスを犯しやすいコーナーだ。

 西コースでは、ライン取りに個性が出やすいスプーンカーブからバックストレート、そして名物とも言える高速コーナーの130Rがあって、オーバーテイクポイントにもなるシケインと続き、1周が長いコースでありながら、ホームストレートとバックストレート以外は、横Gが抜けるところがないので、コース1周をまとめるのが非常に難しいコース。

 勇気が試される高速コーナー、センスが問われる中速コーナー、テクニカルな低速コーナーと、あらゆる要素がバランスよく含まれているのが、鈴鹿サーキットの魅力なのだ。

 また、アクシデント発生時のコースマーシャルの対応はモナコと並んで、世界一と評されているのもチームやドライバーから愛されているひとつの理由。

 さらに、ファンの熱心さでも、世界屈指でF1ドライバーからの評価も高い。

 そして、サーキットとしては非常に稀なことに、交通アクセスもよく、山奥ではなく街なかにあるのも大きな強味。公共交通だけで来場できるし、F1などのビッグレースでもそれほど酷い渋滞が起きないのも、鈴鹿ならではの特色だ。

 このように、ドライバーにとっても観客にとっても魅力たっぷりな鈴鹿サーキットは、F1にはなくてはならないサーキットでとして定着している。

 これまでの秋の開催では、チャンピオン決定シーンが見られることも多かった反面、台風や大雨の心配もあったが、今シーズンから春開催となり、新たな発見もあるはずなので、ぜひ4月のF1日本グランプリも現地で観戦してみよう。


藤田竜太 FUJITA RYUTA

モータリングライター

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日産スカイラインGT-R(R32)/ユーノス・ロードスター(NA6)
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