破綻はしてないけど……デザインのプロが挙げる「ちょっと残念」な外観の現行国産車4台 (2/2ページ)

細部のまとまりのなさがクルマ全体を中途半端な印象にする

 3台目はスズキ・ワゴンRだ。6代目となる現行型は標準タイプに加え、「スタイリッシュワゴン」と「ストロングワゴン」という3つの顔を揃えて2017年に登場。

 エクステリアの特徴は「機能性とデザイン性の両立」で、たとえば前席のパーソナルスペースと後席の実用スペースを分けたグラフィック表現や、前後ホイールアーチを結ぶプレスラインでは、ボディを下部の台座と上部のキャビン部にわけているのだ。

 ただ、造形的にはそれぞれが少々説明的に過ぎる点が気になる。

 コンセプトは必要だが、デザインはそれをしっかり「消化」「昇華」しなくてはいけない。ルーフにちょっと届かないBピラーなど、全体が中途半端に見える。

 そのあたり、まもなく登場とされる新型に期待したいところである。

 最後はダイハツ・コペンだ。「DRESS-FORMATION」という独自の発想により外板パネルの着せ替えを実現、ローブとクロスのふたつの個性で2014年に登場した。

「自分らしさを表現できるクルマ」というコンセプト自体に違和感はないが、強いキャラクターラインが側面を走るスタイリングには特段の魅力は感じないし、初代が持っていた普遍的な佇まいも消えてしまった。

 日本車では先代を否定するモデルチェンジが散見されるが、コペンでいえば、なぜ初代が長く愛されたのかをしっかり考えるべきだった。

 いまになって初代をオマージュしたコンセプトカーが発表されていたが、少々もったいない話である。

 さて、今回あらためて各社のラインアップを見ると、大きく破綻したスタイリングは本当に少なくなってきたが、「これはグッドデザイン!」と絶賛できるクルマもまだまだ一部だ。

 その点、今後はマーケティングに流されない一球入魂のデザインを期待したい。


すぎもと たかよし SUGIMOTO TAKAYOSHI

サラリーマン自動車ライター

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いすゞFFジェミニ4ドア・イルムシャー(1986年式)
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オヤジバンド(ドラムやってます)/音楽鑑賞(ジャズ・フュージョンなど) /カフェ巡り/ドライブ
好きな有名人
筒井康隆 /三谷幸喜/永六輔/渡辺貞夫/矢野顕子/上原ひろみ

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