性能だけなら群を抜いていたがまったく売れなかった! たった2年で消えた「ホンダ145」というファンでも知らない隠れ名車 (2/2ページ)

同時期にデビューした初代シビックの影に隠れてしまった

 シビックの開発を任された技術者が生産工場を訪れた折、ポツリポツリとしか生産ラインを流れてこないホンダ1300を見て愕然としたと回想している。その不振っぷりを挽回するために誕生したのが、まったく趣を異にした新型モデルのシビックであった。

 そして、このシビックの登場にあわせて、ホンダ1300をベースに水冷エンジンを搭載したのがホンダ145というわけである。同車は、高回転高出力型の空冷1300エンジンに比べ、トルクを重視し運転しやすさをもたらした水冷エンジンではあったが、消費者の目は残念ながらシビックに熱く注がれた。そしてわずか2年で姿を消すことになる。

 シビックに乗ることがホンダファンの心を満たしたが、それでも、ホンダ1300や145に乗った人々が、2輪での活躍やホンダF1の雄姿を胸に、誇り高い表情で運転していた姿を当時目にしたのは、なお記憶に残る懐かしい思い出である。


御堀直嗣 MIHORI NAOTSUGU

フリーランスライター/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
日産サクラ
趣味
乗馬、読書
好きな有名人
池波正太郎、山本周五郎、柳家小三治

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