名前はよく聞くけどどんな素材? クルマの「インテリア表皮」代表的な8種の特徴とは (2/2ページ)

ひと口に「レザー」といっても種類が豊富

4)ナッパレザー

 さて続いては、本革や合皮といったレザー系の素材で、古くから高級といわれているものとして「ナッパレザー」があります。名前のとおり、アメリカ・カリフォルニア州ナパ地域で作られていたもので、もともとは羊や山羊の皮に明ばん鞣しを行い、植物タンニンまたはクロム鞣剤で再鞣しされた革をさしていました。

 とても柔らかく光沢があり、手袋に使われることが多かったといいますが、クルマのインテリアに使われるものは、柔軟性に加えて耐久性にも優れる牛革が使われることが多いとのこと。

 革本来の風合いが味わえる反面、傷がつきやすいのが弱点となっており、長持ちさせるには入念な手入れをして風合いを保つ必要があります。

5)セミアニリン

 同じく高級レザーのひとつとして知られているのが、「セミアニリン」。まず、高級ソファなどに使われることの多い「アニリンレザー」というものがあるのですが、革本来の質感や風合いを大切にするために表皮に合成染料のアニリンを薄くコーティングしただけのレザーとなっています。素のままに近い状態で使うため、特別に上質な革が選ばれます。ただ、それゆえにデリケートでシミや汚れに弱いのが難点。

 そこで、表面を保護するために薄い塗膜をコーティングし、直射日光や高温多湿、乾燥、水滴や摩擦などに対する耐久性を持たせたのが、クルマのインテリアによく使われるセミアニリンレザーということになります。本革ならではのエイジングも楽しめる素材です。

6)スエード

 そしてもうひとつ、本革に含まれる素材として「スエード」があります。靴やコートなどファッションの素材で有名ですが、山羊や子牛などの皮の裏面をヤスリがけして起毛させることで色や質感の味わいを深め、すべすべとした手触りを特徴とする素材です。

 使うほどに愛着が湧くようなエンジングも楽しめるようになっていますが、水滴には弱い素材となっています。このスエードの風合いに似せた合成繊維のスエードもあり、水には強いものの経年によって剥がれやひび割れが発生することもあります。

7)アルカンターラ

 さらに、このスエードのような手触りを持ち、ランボルギーニやマクラーレン、マセラティといった高級ブランドがこぞってインテリアに使用する素材といえば、「アルカンターラ」。これは、日本の東レとイタリアのENIによって作られた合弁会社、アルカンターラ社が製造しているものを指す名称で、日本で製造されたものはウルトラスエードと呼ばれます。

 素材はポリエステルやポリウレタンで、撥水性や難燃性、通気性や耐久性の高さを兼ね備えているのが特徴。また、カラーバリエーションが豊富に用意できる点も、クルマのインテリアとして向いている素材といえる点です。

8)プライムスムース

 最後にホンダがインテリアに採用することの多い、「プライムスムース」ですが、これは合成皮革の一種です。高級感のあるしっとりとした質感が特徴で、一見したところでは本革との区別がつきにくいほど。

 でも合皮なので汚れやシワに強く、汚れてもサッと拭き取れるなど機能性が高いのも美点となっています。

 このように、ひとくちにファブリック、レザーといってもさまざまな種類があり、それぞれに特徴も違います。自分がクルマに求める性能は何か、重視する機能は何かといったことを考えて、素材を選ぶのもよさそうですね。


まるも亜希子 MARUMO AKIKO

カーライフ・ジャーナリスト/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
MINIクロスオーバー/スズキ・ジムニー
趣味
サプライズ、読書、ホームパーティ、神社仏閣めぐり
好きな有名人
松田聖子、原田マハ、チョコレートプラネット

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