ホンダと日産がパートナーシップを検討の衝撃ニュース! アジア市場に見える両社の厳しい立ち位置 (2/2ページ)

三菱やスズキが売れまくっている!

 また、東南アジア地域では、日産やホンダより三菱自動車のほうが、ピックアップトラックのトライトンやその派生SUVといえるパジェロ・スポーツなどもラインアップして存在感を見せているし、インドではスズキ車が圧倒的に台数ベースでは売れているのは周知の事実となっている。

 今回の協業についてはおもにBEVのジャンルとしているが、今後の話の進め方次第では、もっと「手前」のレベルでの協業も活発に行われるかもしれない。

 BEV面での協業というとバッテリーなどに目がいってしまいがちだが、今回はコネクティビティ面にも触れる機会が多かった。日本の自動車メーカーがBEVについて遅れを取っているといった報道はいまどき珍しくないが、日本の社会全体を見渡せば、デジタル化の遅れも際立っている。日本メーカーを見るとコネクティビティへの対応も「慎重」な姿勢が目立つ。

 しかし、そのなかでもトヨタはコネクティビティへ積極的な姿勢を見せ、いまでは多くのトヨタ車においてカーナビ機能はコネクティッドサービスのひとつ「センター通信型ナビゲーション」となっており、従来のように見積書に20万円といった高価なカーナビゲーションユニットをオプション計上する必要はない。日産やホンダもコネクティッドサービスは行っているのだが……。

 実際、ディーラーへ行くとディーラーオプションの従来タイプのカーナビゲーションの装着を熱心に勧めてくる(ディーラーとしては儲かるので仕方ない面もある。またコネクティビティは“ご興味があれば”といった程度で積極的には勧めてこない)。日本でも若年層はカーナビ機能のないディスプレイを装着して「グーグルマップ」などを接続させカーナビ代わりに使うケースも多いようだ。

 筆者はデジタルツールを使いこなせているわけではないが、BEVやコネクティビティはそれらに造詣が深い人以外でも、「なんだかよくわからないけどワクワクする」といった気持ちにさせる販売促進効果の高いものと考えているが、販売現場がどのようなものなのか理解しきれていない面も大きいようで、「購入希望者に十分なプレゼンテーションができていないなあ」ということも実感している。

 トヨタが日本国内では圧倒的に高い販売シェアで販売トップになっているだけではなく、世界市場でも世界販売台数トップを獲り、あえて「グループ」と表現するが、資本的なものも含めてさまざまにつながっているブランドも多く、そのスケールメリットはかなり大きいものとなっている。「聞いた話では、スズキではトランスミッションに最近だとアイシン製を使うことも多くなってきたそうです」とは事情通。

 国内における日系乗用車ブランドを見れば、いわゆる「トヨタとかかわりがほぼない」ブランドは日産&三菱とホンダのみとなっている。世界市場ならずとも、国内市場でもこのままそれぞれ個別に動いていれば、技術的な先細り傾向はかなりの懸念材料に見える。ICE車メインのころから安全運転支援デバイスの標準搭載化なども進んできたなか、コスト面などを考えても各メーカー単独で対応するのはもはや困難なレベルになってきているとは、よくいわれた話であった。

 今回の協業がどこまでシナジー効果を生むのかは今後次第となるが、会見での質疑応答でもお互いの企業カラーの違いについての質問も出ていた。本田宗一郎氏がまさに“町工場”レベルで創業し世界的な大企業までに発展したホンダと、日産ではあまりにもお互いのキャラクターが異なるので、協業がうまく進むか不安視する話も出ている。

 今回とは同じ話ではないものの、2024年2月末にかねてより経営統合することで基本合意していたトラック・バスメーカーの日野自動車と三菱ふそうトラック・バスだが、経営統合の延期が発表されている。

 日産とホンダとでは資本提携などは考えていないということであり、経営統合と協業では話は異なるものの、キャラクターの異なる大企業は思惑が同じで、いざ一緒にやっていこうとしても待ち受ける壁が大きいことはあまり変わらないように見える。ぜひそのような壁を乗り越えて両社がWIN-WINになる協業を進めていってもらいたい。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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