現在の日産を象徴するクルマは現行R35GT-Rをおいてほかにない
Zとならんで、日産の名車としては、スカイラインは外せない。
S54、C10、C110、R30、R32、どの世代も名車にもなかなかのエピソードがあるのだが、どれかひとつにするなら、ハコスカの活躍もおぼろげに記憶しているが、やはり筆者の世代では、リアルタイムでその活躍を目の当たりにしたR32GT-Rだ。
グループAレースでの強さは、誰もついてこられないほどだった。
市販車のほうも、初めて運転したときに、これほど速くて安定しているクルマはないと思った。速いと聞いていたので身構えていたが、拍子抜けするほど乗りやすくて、運転が上手くなったかのような感覚を覚えたものだ。
その少し前に登場した、「シーマ現象」なる言葉を生み出したほど売れたシーマも、初代には乗る機会がなかったのだが、リヤを下げて離陸するかのように走る姿がやけに印象に残っている。
内外装デザインも素晴らしかった。最近でも、有名女優さんが長年愛用していることがたびたび報じられているが、それだけ目を引くクルマだから、いつまでもニュースで取り上げつづけられるのだと思う。
その後、シーマの名をもってしてもかつての栄光を取り戻すことは難しく、いまや消滅してしまったのは残念なかぎりだ。
その他の候補では、スカイラインやブルーバードの歴代モデルのいくつかや、同じくセドリック/グロリア、ローレル、2~3代目のマーチ、初代エルグランド、セレナ、エクストレイルあたりもあるが、個人的にぜひ挙げておきたいのが、S13シルビアだ。
あの時代に、この美しいデザインがとても映えて見え、女性ウケもよく、デートカーとしてもてはやされただけでなく、手頃な価格とサイズでパワフルなFR車だったことから、走り系の人にも大いに受けたのはご存じのとおりだ。ああいうクルマなのに月販でコンスタントに1万台を超えていた時期があるなんて、すごいことだと思う。
こうしてみると日産が元気だった1980年代のクルマがやはり多くなったが、しめくくりに挙げたい1台は、なんといっても現行R35GT-Rをおいてほかにない。
登場から16年あまり、初めて乗ったときのあのインパクトは忘れない。
ニュルのタイムで物議をかもしたのは、それほどタダモノではないことをやってのけたことのあらわれ。こんなクルマ、日産じゃないと作れっこない。まだ現役でいてくれることがうれしい。できるだけ長く存在していて欲しい。