【試乗】異次元の高級SUVがEVで誕生! マイバッハEQSの驚くべき走りと「気になるところ」 (2/2ページ)

3050kgの車重を感じさせない走り

 さて、室内に乗り込むと左右ダッシュボード前面に約140センチもの幅のある大きな液晶パネルが圧巻だ。MBUXハイパースクリーンと呼ばれるこのパネルは助手席でも画面が表示され、さまざまなコンテンツを楽しめる。ドライバー前面のメーター表示パネルも12.3インチの大型液晶で、とくに夜間の走行時などには煌びやかさが印象的な空間となる。

 走行性能は申し分ない。車両重量は3050kgもあるが、バッテリーのフロア下搭載による低重心化とAWDの安定性、駆動制御で重さを感じさせないアジリティと正確なライントレース性、全天候性が与えられている。

 とくに後輪も操舵させるステアシステムは、最小回転半径を5.1mという小ささに抑えることができ、これは国産コンパクトカー以下の数値。実際、Uターン時の旋回半径の小ささには動力性能以上の驚きを覚える。

 後輪操舵は高速域では同相に稼働し、クイックながら安定した車体姿勢を発揮させる。もはや後輪操舵なしでは今後の大型車、高性能車は成立しないといえる。

 システム総合最大出力は658馬力。最大トルクは955Nmに達するので、一般道から高速、ワインディングでも余裕のある走行が可能だった。もちろんマイバッハ特有の高度な遮音性とBEVゆえの静かな走行音がキャビンを圧倒的に静かな快適空間にしており、外部からの周辺音やノイズは徹底的に遮音されている。

 唯一気になったのは、前後共通の22インチタイヤ/ホイールの重量だ。タイヤサイズ275/40R22で相当重く、荷重を支えるには十分だが、バネ下重量の大きさを感じてしまうのだ。とくに不整路面での細かな振動はドライバーだけでなく後席にいても感じやすい。3トンの重量を支えるバネレートが、ロープロファイルタイヤの縦バネ常数とシンクロする領域で不快感が増す。前後モーター駆動制御でピッチングは抑えられても、ハーシュはもうひと工夫必要と感じさせられた。

 マイバッハクラスでもNVHと車重、動力性能を完全にマッチさせるのは難しいようだ。


この記事の画像ギャラリー

中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
愛車
マツダCX-5 AWD
趣味
海外巡り
好きな有名人
クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

新着情報