同じクルマなのに安いのと高いので価格2倍ってどういうことよ? グレード間で差が大きいクルマに「価格差分の価値」はあるのか (1/2ページ)

この記事をまとめると

■装備の高度化や物価高騰で車両価格が上昇しつづけている

■ベースと最上級グレードの価格差が異常なまでに開いているモデルも数多い

■価格差に見合う魅力があるかは車種ごとの「商品力」が鍵となる

グレード間での価格差が大きいモデルが増えている

 クルマの価格が高騰している。かつて200万円台で買えたクルマが、いまや300万円オーバーなんてこともある。ただし、それは物価、原材料費、労働賃金といった要因の値上がりだけではない。ご存じのように、最新のクルマは先進運転支援機能が標準化され、コネクティッド機能、USBポートなどの装備がテンコ盛りであり、そのようないまの時代に不可欠な装備類が価格を押し上げているのである。

 それはともかくとして、車種によってはベース車両と最上級グレードの価格差があまりにも大きいクルマが増えているのも事実。その差額は数百万円にも及ぶことさえあるのだからびっくりだ。

 その筆頭が、トヨタ・アルファードだ。デビュー当初にはなかった2列目ベンチシート8人乗りの「X」グレード、つまりベースグレードは税込510万円から。ハイブリッドの「エグゼクティブラウンジ」が860万円からだから、350万円もの差額になるのだが、最近加わったPHEVは、なんと1065万円からで、Xグレードの車両本体価格を超える555万円もの違いになるのである!

 外観はパッと見さほど変わらないにもかかわらず、あまりの価格差に愕然としてしまう。もちろん、Xとエグゼクティブラウンジでは装備の豪華さがまったく違い、価格なりの満足度、魅力はあるのだが……。

 ファミリーミニバンの代表格の1台、日産セレナもそうだ。庶民でも手を出しやすいベースグレードの「X」の価格は約272万円から。そして、売れ筋の「ハイウェイスターV」が約317万円から、日産自慢のハイブリッドシステムを搭載した「e-POWER X」は325万円から。ここまでは、装備や走行性能、燃費性能といったメリットがわかりやすく納得しやすい。

 問題は、セレナ史上もっとも高価な最上級グレードの「ルキシオン」だ。プロパイロット2.0を装備し、フロントグリルがより精悍になり、16インチホイールのデザインが異なるほか、車重に対応した専用タイヤとなり、インテリアや装備も一段と豪華になるのだが……その価格はなんと484万7700円!

 ボディと一体化させたサイドシルプロテクターによって、全幅1715mmの3ナンバーサイズとなっているものの、基本は5ナンバーサイズのファミリーボックス型ミニバンであるとは思えない値づけなのである。

 Xとの差額は212万8500円に達する……というよりも、これではアルファードに匹敵する車格をもつエルグランドが比較対象に上がってきてしまう。「250ハイウェイスターS」の約408万円よりも高価で、3.5リッターV6エンジンを積む「350ハイウェイスター 7人乗り」の約487万円にも匹敵するのだ。

 2015年1月デビューの古参モデルであり、2026年にフルモデルチェンジも予定されているなかで、現行エルグランドをいま買うべきかはともかく、ちょっと異常でもある値づけ、ベースグレードとの価格差なのである。

 FRレイアウトを採用したことでも話題をもたらしたマツダの国内でのフラッグシップSUV、CX-80もしかりだ。その実質的な先代モデルであるCX-8は、その車格や走行性能の魅力に加え、「使える」3列目席を備えつつも300万円台から買えるという、コスパ抜群の高級SUVだった。

 最新のCX-80も、3.3リッター直6クリーンディーゼルエンジン搭載のベースモデル「XD」ならば約394万円からという価格設定なのだが、XDのマイルドハイブリッドモデルになれば約582万円、PHEVの最上級グレードとなる「PHEV プレミアムモダン」に至っては700万円オーバーの約712万円と、パワーユニットの大きな違いはあれど、XDとの差額は約320万円にもなっている。

 つまり、CX-80のベースグレードとロードスター「Sスペシャルパッケージ」の2台が買える価格となってしまうのがCX-80 PHEV プレミアムモダンというわけだ。


この記事の画像ギャラリー

青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

新着情報