同じクルマなのに安いのと高いので価格2倍ってどういうことよ? グレード間で差が大きいクルマに「価格差分の価値」はあるのか (2/2ページ)

輸入車でもグレード間の価格差が大きいモデルは多い

 輸入車として比較的買いやすく、安心なフォルクスワーゲン・ゴルフはどうだろう。もっともベーシックな、それでも装備的には不足のない「eTSI アクティブ」は約380万円。それが、「TDI R-Line」の各種パッケージつきとなれば約567万円だ。

 それで驚くのは早く、同じゴルフでも333馬力を発揮するハイパフォーマンス4WDモデルの「ゴルフR」ともなれば価格は705万円からと、一気に跳ね上がるのだ。こちらはサーキットでも活躍できる特殊なモデルとはいえ、ベースのeTSI アクティブとの差額は325万円となる。

 ちなみにポルシェ・パナメーラでは、ガソリン車の「パナメーラ」が1522万円であるのに対してハイブリッド車の「パナメーラターボ SE-Hybrid」が3410万円と、なんともダイナミックな1888万円もの差なのだからびっくりすぎる。スペックの大きな違いはあれど、「ポルシェといえば」の911カレラ(1853万円)が買えてしまう差額なのである。

 と、リッチな話を中心に、グレードによってあまりにも価格差が大きいクルマを紹介してきたが、ここでちょっと対照的かつ庶民的な例を挙げると、ホンダ・フィットがある。標準グレードの「BASIC」はFFで約172万円。ここで比較したいのはSUV風味の「クロスター」。同じくFFモデルで約229万円だ。価格差の約57万円は驚くほどではない。

 だが、競合ひしめく国産コンパクトカーのなかでかなり地味な存在になってしまっている標準型フィットに対して、クロスターともなるとカッコよさ、存在感が一気にアップ。装備や走行性能に違いはないものの、商品力という点ではクロスターが大きくリードしていると思えるのである。

 また、スズキのアジア向け戦略車であるコンパクトSUVのフロンクスにも注目したい。インド生産のため逆輸入車となる日本仕様は、本来インド仕様には存在しない4WDを日本の雪国のユーザーに向けて用意。

 FFモデルともに日本仕様専用化、日本の道路事情に最適化されているのが特徴で、シートヒーター、ドアミラーヒーターの装備、ラゲッジボードによるアレンジ性向上から、メモリーナビの標準装備、ホイールのボルトを4穴から5穴として剛性を高めているのも、日本における使い勝手、日本の高速道路の車速域に対応したものだ。

 インド仕様にある後席エアコン吹き出し口は省かれているのが残念ではあるが、4WDモデルには専用モードとしてヒルディセントコントロール、グリップコントロール、スノーの3つのドライブモードも加わっている。2WDと4WDの価格差は19万8000円でしかないものの、よりドシリとした上級感ある乗り味を示してくれることを含め、価格差を超えた商品性を備えている一例だ。


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青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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