億を超えるプライスで取引される国産旧車が急増
NSXにはその後、さまざまな派生モデルが誕生するが、そのなかでも特筆に値するのが、1992年に発表されたNSX-R、通称「タイプR」だった。搭載されるV型6気筒エンジンのスペックに変化はなかったものの、クランクシャフトやピストン、コネクティングロッド等々の構成部品は、より工作精度を高めたタイプR専用のもの。装備の簡略化や遮音材の削減、あるいはバンパーなど外装にさらなるアルミニウム製パーツを用いることなどで、スタンダードなNSXからさらに120kgもの軽量化を果たしたのも大きな話題だった。
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そして、さらに大きなマイナーチェンジがNSXに施されたのは2001年のこと。ヘッドライトが固定式になったほかボディのディテールも変化し、翌2002年にはNSX-Rもニューモデルに生まれ変わった。ボンネットやリヤスポイラーが新たにCFRP製とされるなど、軽量化はさらに進められ、エアロダイナミクスも改善された。
搭載エンジンはすでに2001年のマイナーチェンジ時に3.2リッター仕様に変更されていたが、NSX-Rもまたそれに等しい。参考までにこの3.2リッター仕様の、いわゆる後期型のNSX-Rはわずかに140台が生産されたのみとされている。
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そのデビューから20年以上の時を経て、先日イタリアのコモ湖を中心に開催された伝統のコンクール・イベント、コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステに併催された、イギリスのオークショネア、ブロード・アロー・オークションが主催したオークションに、この後期型NSX-Rが姿を現した。
チャンピオンシップ・ホワイトのボディカラーも新車同様のコンディションに保たれた2003年式のそれは、走行距離もわずかに1万5900km。入札者は現地のほかに、イギリス、オーストラリア、アルゼンチン、南アフリカ、アメリカからもオンラインで参加。激しい競り合いが展開された。
1億5000万円超で落札されたホンダNSX-Rのフロントスタイリング画像はこちら
そして、結果的にハンマーが振り下ろされた数字は、じつに93万4375ユーロ。日本円に換算すると、1億5000万円を超える金額での落札となった。これからは日本車も、スポーツカーを中心に世界で熱い視線が注がれる存在になるだろう。誰もがそう確信することができたオークションだった。