アウトビアンキ・アバルト……日本の若者も呪文のように口にしたもんよ! イマドキの若者にも知ってほしい「軽くて小さくて速くて安い」伊製ホットハッチの魅力 (2/2ページ)

日本にも正規導入され若者中心に人気を呼んだ

 排気量は1050ccまで拡大され、その最高出力は70馬力を発揮するまでになっており、5速MTを介して最高速は160km/hを誇りました。フロントマスクやリヤガーニッシュにはアバルトのロゴが配されたほか、シートベルトまで真っ赤という仕様は、「なんだかアバルトって凄そう」と予感させるには十分すぎるほどだったと記憶しています。

 ちなみに、価格は180万円程度であり、車格こそ違えども国産スポーツカーと張り合えそうなクルマとしては破格のバーゲンプライス! 前述のとおり、多くの若者が呪文のようにアウトビアンキ・アバルトを口にしていたのです。

 また、第5世代を迎えてもなお人気が衰えることはなく、フィアット主催によるワンメイクレース「カンピオナートA112アバルト」が開催されたほか、2010年には「トロフェオA112アバルト」と題してリバイバルレースまで行われています。ちなみに、トロフェオは元F1ドライバーのオリビエ・パニスが参戦するなど本格的なレースで、A112アバルトのパフォーマンス、ドライビングの楽しさが垣間見えるというもの。

 実際に乗ってみると、トップエンドまで軽々とまわるエンジンや、そのレスポンスのよさに驚かされました。また、なにより軽い車重のおかげで無謀とも思えるコーナー進入でもなんとかなってしまうシャシーにも頬が緩んだこと、いまでも覚えています。たかが70馬力といえども、ためらうことなく全開、全速力が楽しめるという点においては絶妙なパワーであり、乗っているあいだは「これ以上はいらねーや」と確信すること請け合い。

 スモールホットハッチは絶滅危惧種といっても差し支えないジャンル、しかもアバルトという宝石のようなブランド。タマ数こそ少ないものの、手に入れるならいまが最後のチャンスかもしれません。


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石橋 寛 ISHIBASHI HIROSHI

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