プロのVIPお抱え運転士レベルの滑らかブレーキが誰でもできる！　新型アルファードPHEVに採用されたブレーキシステムが凄い!! (2/2ページ)

ショーファーレベルのブレーキ制御を機械で実現

　そんなアルファード&ヴェファイアのPHEVモデルのみに新採用された注目機能が、「スムーズストップ／ブレーキ車両姿勢制御（ピッチ制御）」である。ボックス型ミニバンは背が高く、乗員が座る位置も高いため、ブレーキの踏み始めの車体の前のめり、停車時の”カックン”、車体の後ろ下がりといった車体の姿勢変化を伴いがち。それが乗り心地の不快さに直結することもあるのだが、それを改善するのが「スムーズストップ／ブレーキ車両姿勢制御（ピッチ制御）」というわけだ（レクサスLMにも採用済）。

　具体的には、ブレーキを踏んだときに後輪の駆動力配分を強め、車体の前のめり（ノーズダイブ）を抑え、停止時にはブレーキ力を車体側で抑えることで停止直後の車両の揺れ動き（カックン／後ろのめり）を制御し、乗員の姿勢変化を低減してくれる、まさにスムースなストップを実現したものだ。これにより、熟練ショーファーのような運転、ジェントルな停止が誰にでも可能になることになる。これは、モーター制御、サスペンション制御、そしてアルファードのHVモデルにも採用されている前後ふたつの回生協調ブレーキシステムあってのなせる業といっていい。

　では、クラウンなどの幅広い上級車種に採用してもよさそうだが、アルファード&ヴェファイアのPHEVモデルのように背が高く（1945mm）、重い（2470kg）、慣性モーメントが大きいクルマにこそより有効であり、アルファード（HV）に今のところ採用されないのは、ショーファーカーとしての需要がPHEVのほうがより多いと予想されるからではないだろうか（コスト増を含む）。

　もっとも、熟練ドライバーと同じ人間、ドライバーである我々も、ペダル操作によってスムースにストップすることはできなくもない。「スムーズストップ／ブレーキ車両姿勢制御（ピッチ制御）」が付いていないアルファード&ヴェファイアのドライバーでも、スムーズなブレーキング、停止直前のブレーキの「抜き」を習得すれば、「人間スムーズストップ／ブレーキ車両姿勢制御」が可能になるかもですが……。

　なお、スムーズストップは「ブレーキペダル操作の不足を補う機能ではありません」、ピッチ制御は「ゆっくりとブレーキを踏んだ時には作動しません」と説明されている。