いったんは途絶えたV8ランボだが現代になって復活
1979年、ついにフェルッチオは経営の最前線から手を引き、株式の51%をスイス人実業家のロセッティ氏に譲ることに。
ところが、このロセッティ氏はセンスがいいのかビジネス勘が悪いのか、「ウラッコはアップデートすればまだまだ売れる」とにらみ、シルエットを作らせたのでした。タルガトップ、エアロを意識したスポイラーやフェンダーなどアメリカ人好みっぽいデザインがなされたほか、V8エンジンもまた改良が施されています。この際、3リッターの排気量は変更なく、ツインカムに変更されることでそれまでの253馬力から264馬力へとわずかながらもパワーアップがされました。
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が、またしても売れ行きはイマイチ(笑)。シルエットのためだけではありませんが、ロセッティはすぐさまフランス人のパトリック・ミムランに株式を譲渡。すると、ミムランもまた「シルエットはアップデートすればまだまだ売れる」とばかりにジャルパの開発を決定。
ただし、今度は根本的な改良にほど近く、エンジン、スタイリングはもちろん、インテリアまで徹底的にアップデートがなされました。これらの作業はランボ社内ではなく全面的にベルトーネに任され、かのガンディーニも腕をふるったとされています。
ランボルギーニ・ジャルパのフロントスタイリング画像はこちら
V8エンジンは3.5リッターまで拡大されたものの、デビューイヤーの1981年といえば排ガス規制の影響が大きかったもので、最大出力は258馬力/7000rpmへとダウン。しかし、そのかわりトルクが273Nm/5750rpmから305Nm/4000rpmへと大幅にアップしただけでなく、発生回転も下がって扱いやすさもアップ。
しかも、前面投影面積が増えたにもかかわらず、最高速は248km/hまで向上し、スタンツァーニV8モデル最速の座を極めたのでした。が、やっぱり数は売れず、その生産台数はわずかに410台と公表されています。
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その後、ランボルギーニを手に入れたクライスラーによってジャルパは生産中止(1988年)となり、ランボルギーニのV8モデルは2017年のウルスまでラインアップに加わりませんでした。
ウルスのエンジンはご承知のとおり、VW/アウディ由来のユニットで650馬力/6000rpm、850Nm/2250-4500rpmというパワーを発揮。ウラッコはおろか、ジャルパでさえ比べ物にならないレベル。
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ですが、これを雄牛の心臓と呼べるかどうか、フェルッチオやスタンツァーニに質してみたいと思うのは筆者だけではないはずです。