ガチの悪路を走行してわかったフォレスターの本物っぷり!
次に高速道路での安定性を見てみよう。100km/h前後の巡航では、両モデルとも直進安定性に不安はなく、SGPシャシーの精度とアイサイトの制御が相まって、ドライバーの疲労を確実に軽減してくれる。電動モーターのアシスト範囲であれば追い越し加速もラク。一方、ガソリンターボは加速の際にエンジンが一定回転数でトルクを出し続けるが、旧来のエンジン回転の先走り感はなく、遮音性も好作用し快適な乗り味で好感が持てる。CVTといえどもロックアップ領域が拡大し、トルコンAT車と遜色ない作動感覚で許容できる。

次に今回の試乗トピックスとしてS:HEVモデルのオフロード性能を悪路で試す。X-MODEの制御を装備し岩場やぬかるみといった低μ路面での駆動力確保は秀でているが、今回のテストコースではそれを必要としないほどAWDシステムの完成度が高いことがわかった。

スタートポイントは斜度10%の急勾配であるが、苦もなく走り始める。モータートルクが強力なのでエンジンは始動しなくても速度を上げていけるほどだ。比較に旧マイルドHEVのモデルも走らせたが、駆動力制御の力強さ、スムースさは新型のS:HEVが圧倒している。

大きな岩石がゴロゴロ転がっているパートや轍、穴など路面コンディションは最悪に近いが、最低地上高220mmの圧倒的なクリアランスが路面を選ばず、デュアルピニオンパワーステアリングの効果でキックバックは皆無で直進性もライントレース性にも優れ、快適性まで感じられるほどだった。
THS IIシステムのS:HEVと機械式プロペラシャフトで連結される4輪駆動はトヨタにも他社にもない。待望の組み合わせとなってスバルで実現されたのである。

燃費と経済性についてはWLTCモードでの燃費はS:HEVが圧倒的に優位で、実走行でもつねに16km/L前後を示していた。これに対し、ガソリンターボは13km/L程度。その差は明確であり、ランニングコストを重視するならばS:HEVを選ぶメリットは大きい。
ただ後ろから見たマフラーの配置がS:HEVは1本出しで貧弱。ガソリンターボは左右2本出しで見た目のバランスがいい。

フォレスターはまたユーティリティの面でも秀でている。足もとの広い後席にもエアコン吹き出し口やUSBポート、3段階リクライニング機構が備わり、シートヒーターは全席に装備。そしてフルフラットになるラゲッジスペースも使い勝手が極めていい。それはS:HEVもガソリンターボも変わりないのだ。
AWDで使える本格的SUVのフォレスター。世界中で再び人気を博すのは確実だ。
