5ドアのノマドがあるなら3ドアいらんでしょ! 3ドアの「ジムニー&シエラ」ピンチ……かと思いきやそうでもなかった (2/2ページ)

まだまだある3ドアが優れているポイント

 もうひとつの長所は、ふたり乗車時であれば、荷室の使い勝手は3ドアのほうがいいことだろう。3ドアの後席はシートアレンジを優先して設計されているため、座り心地はそれなりだが、背もたれを倒した際に傾斜が残らず、荷室の床面が完全にフラットになるのが大きなポイント。

 しかも、ジムニーの廉価グレード「XG」を除けば、荷室床面と後席背もたれ背面が樹脂製となる「防汚タイプラゲッジフロア」が標準装備されるため、汚れ物や重い荷物を出し入れしやすいのも要チェックだ。

 なお、荷室の奥行きはノマドの4人乗車時が590mm、ふたり乗車時が1240mmで、シエラとジムニーの4人乗車時が240mm、ふたり乗車時が980mm。しかし、ノマドは、ディーラーオプションの「ラゲッジボックス」を装着しなければ大きな段差が残るうえ、装着しても後席背もたれを倒した床面に強い傾斜が生じる。そのため、細々とした荷物を多く積む際はとくに、シエラとジムニーのほうが安定した状態で荷物を置きやすくなるのは間違いない。

 そして、ジムニーシリーズの本領であるオフロードを走行するならば、ノマドよりもシエラやジムニーのほうが有利なのはいうまでもない。

 ノマドの全長3995mm・ホイールベース2590mmに対し、シエラは全長3550mm・ホイールベース2250mm、ジムニーは3395mm・ホイールベースは同じく2250mm。この寸法の違いにより、ノマドとシエラ&ジムニーとで、ランプブレークオーバーアングルに、3度の差(25度→28度)が生じている。これが急斜面やロック路で、ホイールベース間をヒットするかしないかのわかれ目になる可能性は、十分にあり得るだろう。

 最後にもうひとつ、非常に重要な違いがある。それは、コストだ。

 まず車両本体価格だが、ノマドはモノグレード展開で、5速MT車が265万1000円、4速AT車は275万円。シエラは196万2000円(JL・5速MT車)〜218万3500円(JC・4速AT車)、ジムニーは165万4400円(XG・5速MT車)〜200万2000円(XC・4速AT車)。ノマドとジムニーとでは75万〜100万円近くの価格差がある。

 しかもノマドは登録車で、ジムニーは軽自動車。自動車税や高速道路代などのランニングコストの違いは、長期間所有するほどボディブローのように効いてくる。この現実からは、目を背けるべきではないだろう。

 以上のように、ノマドが発売されたいまでも、あえてシエラやジムニーを選ぶ理由は少なからず存在する。これまでのクルマの使い方、あるいはジムニーを入手した後に実現したいカーライフ、そして収支を冷静に自己分析して、よりそれらにマッチしたモデルを選んでほしい。


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遠藤正賢 ENDO MASAKATSU

自動車・業界ジャーナリスト/編集

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