鈴鹿はこれでいい!
鈴鹿は、コース幅が10~16mとたしかに狭く、全長5.8kmのなかに、右に10、左に8の18のコーナーがあり、ビッグブレーキはシケインぐらい。したがって、追い抜きのチャンスは、このシケインの進入とスプーンの入口がメイン。ホームストレートが短いのでDRSを使っても1コーナーではあまりオーバーテイクシーンは見られない。そのかわり、2024年の角田のように逆バンクでライバル車を抜くエキサイティングなシーンもたまに見られる。
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また、「いまのF1マシンは大きい」という声もあるが、2025年のF1マシンの全幅は2000mmまで。1990年のチャンピオンマシン、マクラーレンMP4/5Bの全幅は2033mmなので、むしろ昔のF1マシンのほうが幅は広い(ホイールベースは2025年が3400mmまで。MP4/5Bが2895mm)。ちなみに、現在のスーパーGT(GT500)の車両は全幅1950mmだ。
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鈴鹿は抜けないといっても、2005年のキミ・ライコネンのように、予選17位からファイナルラップでトップに立ち、劇的な逆転勝利を飾った例もあるので、モナコGPのようにまったく抜けないということはなく、抜ける技術を持つドライバーと抜けるマシンがあれば、鈴鹿でもオーバーテイクショーは不可能ではないことは証明されている(⁉)。
こうした鈴鹿のコース特性について、フェルナンド・アロンソは次のように語っている。
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「金曜日、みんなは『いかに鈴鹿が素晴らしいか』と話す」、「そして日曜日になってみると、モナコと並んでみんな文句を言いだす『このサーキットは改善の余地がある』『つまらない』と」、「でもこれがF1なんだ。そもそも鈴鹿は素晴らしい。土曜日は信じられないほどアドレナリンが出る。これでいいんだ」
鈴鹿は鈴鹿でこれでいい。筆者もアロンソの考えに同感だ。