この記事をまとめると
■昭和の時代はクルマに扇風機は当たり前の光景だった
■コロナ禍で注目されたサーキュレーターの効果
■燃費やドライバーの健康面から再び扇風機が必需品に!
かつてカークーラーは「ぜいたく品」だった
半世紀ほど前はクーラーのついていない乗用車も多かった。そもそも大衆車は車両本体価格を抑える必要があったので、高価なカークーラーなんてもってのほか。軽自動車にいたっては、カークーラーを稼働させたくても、クルマ自体のパワーが不足していたことも理由のひとつ。自動車メーカーがクーラーを標準装備するようになったのは、じつは日本がバブル経済へと足を踏み入れつつあったころからである。
クルマ用の扇風機画像はこちら
カークーラーが一般化する前、カー用品店で夏の定番商品はクルマ用の扇風機「ルームファン」だった。電源はシガーライター(こちらもいまでは絶滅危惧種だが)から取り、アシストグリップなどに本体を取り付けて使用していたが、クーラーが普及するにつれてルームファンは徐々に店頭からその姿を消していった。
ところが、ここ数年の間に再びルームファンが店頭に並び始めたのである。そのきっかけはコロナ禍で注目された家庭用サーキュレーターだった。サーキュレーターは直進性の高い風を発生させ、室内の空気を循環させるための家電製品。優しい風で涼しむ扇風機とは似ているようでじつは別物で、室内にたまった冷(暖)気を循環させ、効果を高めるのがその目的だ。
しかし、扇風機も羽の数を増やしたり、高効率なブラシレスモーターを採用するなどして改良を重ねてきた。その結果、風量は以前より格段に強くなり、サーキュレーターのような空気循環効果も期待できるようになった。