超個性的なスタイリングが日本でスマッシュヒット! PTクルーザーみたいなアメ車なら日本でもイケる!! (2/2ページ)

1930年代の名車クライスラー・エアフローがモチーフ

 また、印象のもととなったスタイリングは、ニュービートル同様にクライスラーのヘリテージモデルともいえる「エアフロー」をベースにしたとされています。

 1930年代、各メーカーに先がけてクライスラーが初めて風洞実験を基に作り上げたのがエアフロー。独立したヘッドライトや角ばったボディラインが主流だった当時、ボディにヘッドライトを埋め込み、角という角を丸めたスタイリングは、クライスラーとしても大冒険といわざるを得ないものでした。

 が、同クラスの最高速が100km/h程度だったのに対し、エアフローは160km/hオーバーを達成し、ユーザーはもとより他社のエンジニアたちを驚かせたのでした。もっとも、販売成績そのものはあまりパッとしなかったようで、クライスラー首脳陣は「時代を先取りし過ぎた」と振り返っています。

 それでも、数十年の時を経てエアフローのモチーフはリベンジ、すなわちPTクルーザーの売り上げに貢献できたのではないでしょうか。前述の通りバリエーションが充実していただけでなく、2004年には2ドアのコンバーチブルまでラインアップして、商品価値の底上げまで行われました。

 結局、2010年の生産終了時までに135万台を生産するというスマッシュヒットとなり、100万台オーバーといわれるニュービートルとなかなかのタイマッチを繰り広げたのでした。

 ちなみに、舞浜でディズニーリゾートを訪れた客を相手にPTクルーザーがタクシーとして使用されていたこともあります。特徴的なスタイリングに加え、4ドアのユーティリティがものをいったのでしょう。ニュービートルには真似のできない活躍だったこともPTクルーザーの思い出として記憶しておくべきではないでしょうか。


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石橋 寛 ISHIBASHI HIROSHI

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