コロナ禍で発生した半導体や部品供給の遅れは解消している! それでも新車の納期遅延や受注停止がなくならないワケ (1/2ページ)

この記事をまとめると

■部品供給は回復するも生産が需要に追いつかず人気車で受注停止が依然として続く

■そのなかでも車種ごとに異なる背景が影響している

■納期長期化で税負担増や中古車高騰などユーザーへの負担拡大が懸念される

いまだ歯止めのきかない人気車種の受注停止

 新型コロナウイルスの被害が深刻だった2020〜2022年ごろ、自動車産業も大きな被害を被った。半導体を筆頭に、パーツやユニットの供給が滞り、クルマの生産も進まなかった。しかし現時点では、メーカーの開発者は「新型コロナウイルスの影響で、長期間にわたり滞っている部品は、いまはほとんどない。供給状況はもとに戻った」と口をそろえる。

 それなのに依然として納期が長かったり、納期遅延の結果、受注を停止させた車種も少なくない。2025年8月上旬時点では、トヨタ・ランドクルーザー70/250/300、トヨタ・アルファード&ヴェルファイアハイブリッド、日産アリアの一部グレード、ホンダ・シビックタイプR、スズキ・ジムニーノマドなどの受注が停止している。

 トヨタの販売店では「アルファードやランドクルーザーに加えて、ノアやヴォクシーなどの受注もときどき停止する。これらの人気車は、受注を再開したときに各販売会社へ一定の台数枠が割り当てられ、その上限に達すると再び停止する。受注の再開と停止を繰り返している」という。

 納期を遅延させたり受注を停止させる直接の原因は、生産が需要に追い付かないことだ。この点はすべての車種に当てはまる。しかし、「なぜ生産が需要に追い付かないのか」ということまで踏み込むと、車種ごとに状況が異なる。

 アルファード&ヴェルファイアは、以前の新型コロナウイルスの影響がいまでも残っている。先代型は、モデル末期にコロナ禍で納期が1年以上に遅延した。そして、現行型へのフルモデルチェンジが約1年後に迫った2022年6月ごろ、アルファードとヴェルファイアは受注を止めた。これ以上受注を続けると、新型の発売日に達してしまうからだ。

 その結果、アルファード&ヴェルファイアは、現行型が発売された2023年6月まで、約1年間にわたり受注できなかった。そのために、現行型を発売したときには購入希望者が膨大に増えており、発売後約3カ月で納期が大幅に延びて再び受注を停止させた。このように、コロナ禍による2022年の受注停止が現時点の販売にも影響を与えているわけだ。


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渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
趣味
13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
好きな有名人
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