あか抜けたとかいうレベルじゃなくて別クルマだよね? マイナーチェンジってウソだろレベルに激変したクルマ4台 (1/2ページ)

この記事をまとめると

■クルマはマイナーチェンジで大幅にデザインを変更する場合がある

■大胆にイメージチェンジした異質なモデルたちを紹介

■マイナーチェンジによって個性が失われ失速した例も

マイナーチェンジでガラリと変わったクルマたち

 クルマは新車が出たあと、新車発表時に間に合わなかった部分、そして時代に合わせたアップデート、進化のためのマイナーチェンジを行うのが通例になっている。しかし、だ。マイナーチェンジと称しながら、中身はフルモデルチェンジに近い内容になっていることもある。ここではその代表例をいくつか紹介したい。

 まずは三菱デリカD:5だ。現行モデルはもとを辿れば2007年に登場。根強い人気で延々と生産されてきたのだが、自動車界衝撃のマイチェンが行われたのが2019年だ。

 基本骨格、3列シートパッケージはそのままだが、発売当初は賛否両論あったダイナミックシールド採用の強烈な面構えが与えられ、駆動方式は4WDに(以前は2WDもあった)、パワーユニットは2.2リッターコモンレール式DI-Dインタークーラー付きクリーンデイーゼルターボのみに統一され、組み合わされるミッションはいきなりの8速ワイドレンジATとなっている。

 また、例のダイナミックシールドを含む前後エクステリア、インパネ、シート表皮を始め、パワーステアリング、足まわりなどを一新。さらに先進安全予防技術のe-Assistをついに標準化。ブラインドスポットモニターや後退時車両検知警報、マルチアラウンドビューモニターなどまで用意していたのである。もっとも、それだけではグレード整理と地道な進化の域といえなくもないが、驚かされたのはその走りの劇的変化だった。

 マイナーチェンジではなく、ビッグチェンジといえるその走りに関する内容は、当時の筆者の試乗リポートにこう記されている。

「アクセルと新パワーステアリングのレスポンスの向上も走りやすさに大きく貢献し、日常域での快適性の比較的向上はもちろん、たとえば箱根のタイトなコーナーが連続するように道でも安定感・安心感たっぷりにスイスイ駆け抜けられるほど。乗り心地はリヤダンパーのサイズアップもあり、荒れた路面や段差を見事にいなし、デリカD:5とは思えない(失礼)、フラットな快適感が得られるほどなのである(とくに2列目席)。そして車内の静粛性も劇的に向上。ディーゼルエンジン特有のこもり音は最小限で、ビッグマイナーチェンジ以前のデリカD:5と比較すれば、まるで別物といっていい、静かで洗練された走行性能、車内空間になったのである」

 つまり、走行性能でいえば、フルモデルチェンジと呼びたくなるほどの劇的進化を遂げたのが、2019年、デビュー12年ぶりに刷新されたデリカD:5だったというわけだ。

 続いて紹介するのが、我が日本が誇るスポーツカー、日産フェアレディZだ。先代Z33型に続いて6代目となるZ34型が登場したのは2008年。3.7リッターV66自然吸気エンジンを搭載し、海外では370Zと呼ばれていた。

 世界中に多くのファンをもつため、それから延々と生産され続けたのだが、2022年についに、Z35型ではなく、日産としては7代目と呼ぶRZ34型が発表されたのである。問題は、それをビッグマイナーチェンジと呼ぶ人と、フルモデルチェンジと信じたいZファンがいたことである。

 2022年モデルのフェアレディZは、基本骨格のFRプラットフォームをキャリーオーバーし、ホイールベースも2550mmのまま。ボディサイズも全長のみ120mm長くなっているだけ。とはいえエクステリアデザイン、インテリアデザインなどを刷新し、パーツの80%は新設計されている。

 具体的にはフロントグリルを、初代S30型フェアレディZをオマージュしたデザインとし、サイドから見たリヤビューもより伸びやかになっている。つまり、新しくも懐かしい最新のフェアレディZにデザインを進化させているというわけだ。Z34型から14年ぶりの刷新ということで、ボディ剛性が高められたのは当然として、パワーユニットはそれまでの3.7リッターV6自然吸気エンジンから、スカイライン400Rにも搭載された新世代3リッターV6ツインターボに換装。

 新9速AT(前型は7速AT)も加わり、最高出力はフェアレディZ史上最強の405馬力を発揮。その点でも大きな変貌を遂げているのだ。しかも、燃費性能も向上。Z34型の6速MT車が旧来のJC08モードで9.2km/Lだったのに対して、RZ34型は厳しいWLTCモードで6速MT車が9.5km/L、9速AT車は10.2km/Lという、大幅な燃費性能UPまで図られていたのである。

 が、2022年モデルをR35型ではなくRZ34型としたことで、「R」はリファインのRで、R34型のビッグチェンジモデルなのでは……と思える人がいたというわけだ。ビッグチェンジかフルモデルチェンジか、それは実際にRZ34型フェアレディZを手に入れたオーナー、Zファンが心の中で決めればいいのではないだろうか。


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青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

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