軽トラ「キャリイ」のEVが誕生!? 農業従事者に貸し出す実験がスタートってどういうこと? (2/2ページ)

V2Hシステムと連携させ車載バッテリーを蓄電池として活用する

 今回の実証実験は、車両の貸し出しだけでなくV2Hシステムもパッケージに含まれている。V2Hは「Vehicle to Home」の略で、BEVやプラグインハイブリッド車に搭載されたバッテリーの電力を住宅で利用したり、住宅の蓄電池から車両に充電したりするシステムのこと。さらに、ソーラーパネルを接続することで、自家発電による電力供給も可能になる。

 このBEVキャリイを使った実証実験の対象が農業従事者であるのは、コンセプトが「動く蓄電池」だからだ。農家では作業や移動のために軽トラックを使うことが多い。その運用特性としては、「農作業中は車両を動かすことが少ない」、そして「作業後は車両を自宅敷地内に翌朝まで駐車している」といった点が挙げられる。つまり、駐車時間が長いため、V2Hシステムと連携させれば、その間に車載バッテリーを蓄電池として活用することができる。

 ただし、注意しなければならないことがある。それはバッテリーの充電回数だ。リチウムイオン電池は充放電を繰り返すことで劣化する。通常、車載用蓄電池は週に1回程度の充電を想定して寿命が設計されているが、V2Hシステムと連携すれば毎日充放電を行うことになる。したがって、長寿命で耐久性の高いバッテリーが必要になる。

 BEVキャリイに採用されたバッテリーは、1万7千回のフル充放電(1日3回充電した場合で約15年)を繰り返しても、電池容量の70%程度を維持できる性能をもつ。

 今後の技術開発によって、これを上まわる性能のバッテリーが安価に供給されるようになれば、BEVキャリイは「動く蓄電池」として広く定着していく可能性が高いだろう。


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