世に出たのが早すぎた
2代目クロスロード(2007年2月22日正式発表)
「クロスロード」という車名を聞いて初代ランドローバー・ディスカバリーのOEM車を真っ先に思い浮かべる人はかなりのマニアと推察されるが、今回ご紹介するホンダ自社設計の3列シートミッドサイズクロスオーバーSUV、2代目クロスロードのほうが多少なりとも知名度は高いだろう。
その2代目クロスロードが発売されたのは、2007年2月。先立って2006年7月にデビューした2代目ストリームおよび、同年10月にデビューしたミッドサイズSUVの3代目CR-Vと同じく、7代目シビックの低床プラットフォームをベースとしつつも、両車よりも200mm以上短い全長4285mmのコンパクトなボディが与えられた。
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なお、エンジンは2代目ストリームと同じくR18A(1.8リッター直4SOHC)とR20A(2リッター直4SOHC)を設定していたが、組み合わされるトランスミッションはいずれも5速AT(ストリームは2リッターFF車がCVTとの組み合わせ)だった。
そんな同車がもつ最大の特徴は、やはり内外装のデザインだろう。スクエアで塊感の強いエクステリアと、水平基調のインパネと4眼メーターを組み合わせたインテリアは、SUVらしい機能性とホンダらしいポップさを兼ね備えており、発売から20年弱経った現在の視点で見ても古くささを感じさせない。
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室内空間は短い全長で3列シートを実現したこともあり、決して広いとはいえず、とくにシートアレンジが優先された3列目は完全に非常用。だが、2列目と3列目を格納すれば、スノーボードなども収納できるフラットで広々とした荷室空間が得られる。また、メーカーオプションの「ユーティリティパッケージ」を選択すれば、撥水シート&ドアライニング表皮や2列目シートバックハードボードが装着されるため、汚れ物も気軽に積める使い勝手のよさを備えていた。
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しかしながら、2代目ストリームに対しては5ナンバーサイズを超える全幅の広さや、立体駐車場に入らない全高の高さ(2代目ストリームは全長×全幅×全高=4570×1695×1545mm、2代目クロスロードは同4285×1755×1670mm)、3代目CR-Vに対しては室内の狭さや当時のトレンドと逆行する無骨なデザインがマイナスに働き、販売はデビュー当初より低調に推移。2010年8月に、わずか3年半という短い生涯を終えた。
いまこの時代に再び、同様のデザインとパッケージングのモデルを発売すれば、日本はもちろん、コンパクトな3列シートSUV・MPVのニーズが強い東南アジアでもヒットするのではないだろうか。それは、2025年8月現在、走行距離が少なく程度のよい個体そのものが少ないうえ、市場に流通していれば現役当時の新車販売価格に近い200万円前後の値札を提げていることからも、筆者は強く感じている。
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2代目クロスロードは、生まれる時代が早すぎた。これは個性的すぎるホンダ車にありがちなことではあるものの、やはり残念でならない。