「電動だから静か」じゃなくてクルマそのものの遮音性がスゴイ!
同時に、パジェロ譲りの高い走破性も健在だ。200mmという余裕のある最低地上高に加え、路面状況やシーンに応じて選べる7つのドライブモード(ECO 、NORMAL、POWER 、TARMAC、GRAVEL、SNOW、MUD)が設定されており、電子制御4WDの巧みな介入によって、未舗装路や雪道など低ミュー路でも安心して操れる。また、MUDモードでは、片輪が泥濘に取られてもほかのタイヤに駆動力を積極的に振り分け、確実に脱出できる。パジェロがラリーで培った悪路走破技術を、電動SUVに継承しているのだ。

実際に一般路走行でも後輪モーター強化の恩恵は顕著だ。コーナーでの加速旋回時、かつてよりもリヤの駆動力が力強く、操舵に的確に反応し車体にヨーを発生させる。姿勢を乱すことなく加速体制に移行でき、スムースでクルマとの一体感が感じられる。減速時にも回生ブレーキが前後バランスよく働き、ブレーキペダル操作に対するリニアな応答が得られる。常に「前後アクスルが直結している感覚」が明確に伝わり、ドライバーを安心させてくれるのだ。

また、キャビンの静粛性も特筆すべきだろう。現行型は高剛性ボディと遮音材の最適配置で、EV走行時はほとんど無音に近い。さらに、質感が高く高級な素材を使用したゴージャス感のあるインテリア。YAMAHA製のプレミアムオーディオシステムを備え、走行中もまるで専用リスニングルームのような音場を楽しめる。まさにラグジュアリーSUVとしてもふさわしい価値観を提供してくれているといえる。

燃費性能も向上している。WLTCモードでの総合燃費は17.2km/Lと公表されており、PHEVとして高い効率を実現。EV走行を主体にすれば、ガソリンスタンドに立ち寄る機会は格段に減るはずだ。急速充電と200Vの普通充電に対応し、1500Wの給電機能も備えている。アウトドアや災害時には家庭用電源として活用できる。これは「走る蓄電池兼発電機」としてPHEVの強みを端的に示す特徴だろう。

総じてアウトランダーPHEVは、単なる商品改良に留まらず、走行性能と実用性を高める進化を常に続けている。強力な後輪モーターと大容量バッテリーによるEVらしい俊敏さと、長い航続距離による実用性を備え、S-AWCと豊富なドライブモードでSUVとしての走りを極め、さらには快適性や安全性までも進化させている。ランエボ譲りのハンドリングとパジェロ譲りの走破性。その双方をPHEVというプラットフォームに融合させた点に、三菱の技術が深く息づいている。

アウトランダーPHEVは、電動SUV市場において「走り」「環境性能」「多用途性」の三拍子を兼ね備えた存在として世界中で高い評価を受けている。HVやディーゼル、BEV、ガソリンなどパワートレインだけでも多くの競合がひしめくミドルサイズSUV市場にあって、常に“数歩先を行く存在”であることを乗るたびに実感させてくれるのだ。
