ブランドの基盤は「アドベンチャー」と「パフォーマンス」
ジャパンモビリティショー2025のスバルのブースは、DNAやヘリテージを紹介しつつ「アドベンチャー」シーンと「パフォーマンス」シーンというふたつのゾーンで構成される。
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ブースの中央では、歴史や文化を紹介しながら「安心と愉しさ」というスバルブランドの基盤を表現していく。展示車両は物珍しい「1983年式レオーネ・ワゴン」をベースとしたモンスターマシン「GLファミリー・ハックスター」。スバルモータースポーツUSAが2022年のジムカーナビデオ用にワンオフで製作したもので、2.3リッターの水平対向エンジンは800馬力オーバーまでチューニングされている。

ちなみにこのジムカーナは、大がかりな舞台でド派手な走りを披露するという内容で、日本のファンでも故ケン・ブロック氏の走りを見たことがある人は多いだろう。そこにあえて1980年代の武骨なツーリングワゴンを投入するのが、アメリカではクールだと称賛されたそうだ。
スバルがアメリカで人気なことは知られているが、日本人が想像する以上にブランドイメージは高いという。世界的に有名なビジネス誌であるForbesの「社会に影響力のある企業ランキング」では2023年2位、2024年2位、2025年3位を獲得。自動車メーカーに限らず、あらゆる企業を対象にしたランキングでの結果なのだから、その人気は想像以上といって過言ではないはずだ。
こういったアメリカでのブランドイメージの高さを日本に逆輸入しようという意図も見えるのが「アドベンチャー」シーンだ。ここでは「フォレスター・ウィルダネス・プロトタイプ」、「アウトバック・ウィルダネス・プロトタイプ」が展示される。ウィルダネスシリーズは、2021年からアメリカで展開を始めたもので、悪路走破性やアウトドアでの実用性を伸ばしたモデル。ベース車両よりもワイルドなエクステリアをもたせるとともに走りの性能も向上している。最低地上高を引き上げ、アプローチアングルおよびデパーチャーアングルを大きくとり、ローギヤード化やオールテレインタイヤの採用など、オフロードを想定した内容だ。

日本でもアウトドア人気が高まり、本格オフローダーが以前よりも売れるようになっているので、ウィルダネスシリーズは注目を浴びるだろう。
スバル車はラダーフレーム構造の本格的なオフローダーではないものの、一般的な乗用車ながらタフで悪路走破性が高いのが特徴。ウィルダネスシリーズならば、本格オフローダーに近い性能と日常域での快適性のバランスがよさそうだ。ただ、これが現状アメリカ専用だというのは日本人としては悔しいところだが、ジャパンモビリティショーに出展したということは、日本市場への導入を検討しているハズだ。続報を期待したい。

「アドベンチャー」シーンには「トレイルシーカー・プロトタイプ」も展示される。スバルは2026年末時点でSUVのBEV(電気自動車)を4車種ラインアップすることを表明している。先日、ビッグマイナーチェンジを受けたソルテラに続く第2弾がトレイルシーカーだ。

ソルテラに比べると全長は155mm長く、全高は25mm高い。おもにラゲッジルームが拡大されていてソルテラにステーションワゴンの要素を加えたようなモデルではあるが、AWDモデルでは走りの差別化が図られている。ソルテラに比べるとリヤモーターの出力が向上してシステム最大出力は252kWから280kWとなり、0-100km/h加速は5.1秒から4.5秒へと大幅に短縮。やや大きめで実用性の高いSUVながら、ポルシェ911並の加速をもつハイパフォーマンスモデルでもあるのだ。AWDの制御をさらに進化させることでハンドリングの正確性が高くなっているともいう。

「パフォーマンス・シーン」はSTIの名が冠されていることから想像できるとおり、走る愉しさや操る愉しさを追求。日本のスバルファンにとっても馴染みやすいコンテンツとなっている。