スーパーカーもライトウエイトスポーツも新車時より高い
ホンダ NSX(初代)
・生産期間:1990年9月~2005年12月
・当時の新車の価格:800.3万〜1035.7万円
・中古車の平均価格:1197.8万円
・中古車の価格帯:699万~5900万円
日産スカイラインGT-R(BNR32)と同じか、それ以上のインパクトで1990年9月にデビューしたクルマといえばホンダ NSXでしょう。オールアルミ製のモノコックボディと、低く抑えられた全高、新開発となる3リッターV型6気筒DOHC VTECエンジン、MR(ミッドシップエンジン&リヤドライブ)を採用した駆動方式。車両本体価格が800万円(MT車)という、当時の国産車のなかでは群を抜いて高額な価格設定に驚かされたものです。
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そして、NSXのデビューが、競合車ともいえるフェラーリ348のモデルライフをわずか5年に留め、F355をデビューさせたという逸話があるほど、名実ともにジャパニーズ・スーパーカーともいえるクルマがついに日本にも誕生したのです。
折しも時代は伝説のF1ドライバー、アイルトン・セナがホンダF1で圧倒的な強さを見せつけ、日本はF1ブームに沸きました。そして、バブル期の終盤にもあたります。注文が殺到し、一時は納車まで2年待ちといわれたほど(バブル崩壊ともに相次いでキャンセルが発生したとか)。
1992年には、NSXをよりスパルタンに仕立て上げた「タイプR」がデビュー。このモデルがなければ、のちのインテグラタイプRやシビックタイプRといった、より身近な「タイプR」は存在しなかったかもしれません。
マツダ ユーノスロードスター(初代)
・生産期間:1989年9月~1997年12月
・当時の新車の価格:169万〜340万円
・中古車の平均価格:180.8万円
・中古車の価格帯:65万~586万円
1989年9月、多くの国産スポーツカーが当時の280馬力規制ギリギリの攻防を繰り広げていたなか、最高出力わずか120馬力という、2シーターオープンスポーツとしてデビューした「マツダ ユーノスロードスター」。パワーは非力ながら、理屈抜きに運転していて楽しい! そしてオープンカーならではの爽快さ! ユーノスロードスターを通じて「クルマはスペックじゃない」と学んだ人も多かったのではないでしょうか。
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当時の若者からベテランドライバーまで、ユーノスロードスターの沼にハマる人が続出。軽井沢などの別荘地にはユーノスロードスターがあふれかえったという逸話もあるほどです。
イエローのボディカラーが鮮烈だった「Jリミテッド」や、ブラックのボディカラーに真紅のレザー&赤内装の「Sリミテッド」、ユーノスロードスターとして最後の限定車となった「SRリミテッド」、マツダの傘下であるM2が企画した「1001」や「1002」「1028」などなど、数多くの限定&スペシャルモデルが発売され、そのたびに争奪戦が繰り広げられました(それでもいまほど過熱していなかったような……)。
日本はもとより世界中の人々に「オープンカーで走る楽しさ」を伝え続けたた結果、「ふたり乗り小型オープンスポーツカー」生産累計世界一のギネス記録を達成。その記録は現在も更新されています。いまだに「ロードスターといえば初代」という声が少なくないほど、誰もが認める永遠の名車といえます。
番外編:ポルシェ911(964型)
・生産期間:1988年10月~1993年12月
・当時の新車の価格:1035万〜1850万円(限定車を除く)
・中古車の平均価格:1807万円
・中古車の価格帯:1110万~5500万円
先代モデルの15年というモデルサイクルを終え、80%ものパーツを新たに作ったといわれる「964型」がデビューしたのは1989年。まずはフルタイム4WD機構を備えた「カレラ4」がデビューします。その翌年、1990年に、従来のパッケージである「リヤエンジン&リヤドライブ」を踏襲した「カレラ2」が追加されます。しかも、このモデルには「ティプトロニック」とよばれるセミATが搭載され、これまでMTしか設定がなかった(過去にはスポルトマチックというATがありましたが)911の裾野を一気に広げたのです(正規ディーラー車で右ハンドル仕様も注文できました)。
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その結果、Jリーガーをはじめとするスポーツ選手や芸能人も所有している人が増え、よくも悪くも硬派なイメージは薄れた感があります。とはいえ、およそ20年ぶりに「カレラRS(通称「964RS」)」の名を冠した限定モデルが発売されたり、911のワンメイクレース「カレラカップ」が日本やドイツなどでも開催されたりと、ハードな路線ももちろん健在でした。
日本国内では「カレラ2のティプトロニック」を選ぶオーナーが続出したため、カレラ2のMT、そしてカレラ4(MTのみ)は希少車となり、いまでは新車以上の価格で流通しています。