サーキットも公道も走れる贅沢を極めた中身
ARTAオレンジのボディカラーが鮮やかなこの開発車両、サーキットにもち込み本格的にテストするのは今回がはじめてで、ほぼシェイクダウン状態。袖ヶ浦フォレストレースウェイには、亜久里さんと土屋さん、そしてARTAで2015年からGT500をドライブする野尻智紀選手が、テストドライバーを務めるべく集結した。
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テストは、エンジン系のチェックはもちろんだが、今回のテストにおいてほとんどの時間を費やしたのが足まわりのセッティング。早朝の慣らし運転を終えると、サーキットアタックとドライバーからのフィードバック、ピットでの作業を繰り返した。
走り込みの結果、スプリングは前後ともテストドライバー3名が走り込んで導き出した数値に設定。ダンパーは、前後ともバンプとリバウンドを個別に調整できる仕様で、ハンドリングと乗り心地の双方の観点から、ベストなポジションの模索が、日没近くまで続いた。
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セットアップを終えて野尻選手は「午前中は、コーナリング中の挙動変化は小さくて走りやすかったものの、ロールやブレーキングでの前傾がちょっと大きいのが気になりました。午後は足を硬めにして、そのあたりの動きが最適化されましたし、タイヤが路面から離れるようなこともなく、よりタイヤに多くの荷重をかけ続けられるようになったので、ドライバーとしては安心感をもって走れるようになったと思います」と総括した。
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もちろん、市販車として販売するため、テスト走行はストリートでの扱いやすさも考慮した。「アウトラップなどでペースを抑えた、あまり荷重移動を使わないような走り方をしましたが、それでもしっかり曲がってくれました。いつでもグリップ感を得られて、無駄な動きも少なく、硬さのなかにもしなやかさがある足に仕上がっています」と語る。
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1日掛かりのテストを経て、亜久里さんはかなりの手応えを掴んだようだ。「シェイクダウンとしては上々じゃないかな。朝はまだ乗ってて怖いところもあったけど、セッティングを終えて、クルマに任せてコーナーに入って行けるようになったよ」
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土屋さんも「まとまってきて、表に出せるレベルのクルマになったね。見た目もいいし、足まわりにしても、バランスも仕上がってきた。あとは、細かいところを詰めるだけで、問題ないんじゃないかな」と満足げだ。
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足まわりのセッティングについては、ふたりとも「サーキットを走るなら、もうちょっと硬くしたい」とのこと。亜久里さんは「レーシングカーじゃないから、これくらいがいいのかな」としつつも「もう少し硬いスプリングなんかも試したいけどね」と、レーサー魂が刺激された様子。
土屋さんによれば「まだバンプもリバウンドも、それぞれ余地がある」とのことで「今回のバネレートで、ダンパーを緩めればストリートで快適にも乗れるし、ハードにしてもっとサーキットを攻めることもできる。走り方やシチュエーションに合わせて、セッティングを楽しんでほしいね」と語った。
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「手に入れたひとがモディファイしたいと思ったとき、ベースとなるクルマとして、ポテンシャルの高いものになってると思うよ。喜んでもらえるんじゃないかな」と亜久里さん。土屋さんも「今の状態でぜんぜん乗りやすいし、きっと満足してもらえると思うよ」と太鼓判を押す。
ARTA GT FL5はコンプリートキットとしての販売で、生産台数は20台程度。本体もち込みでの架装を想定しており、キットの価格は1350万円。各パーツの単品売りは計画されていないとのこと。すでに問い合わせはあり、今後はスーパーGTのレース会場でも展示・受注を計画しているとのこと。ストリートで楽しめるGT500譲りのスタイリングと、ARTAの総力を結集して仕上げた走りを手に入れるチャンスは、ファンならずとも見逃せないところだ。
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