ボディ形状による走りの違いとは
まず、4ドアセダンだが、ボディ構造的にはセンターピラーをもつだけに車体剛性的には捻り、曲げの両面に対して高い。なお、単純にドア枚数を減らしただけの2ドアボディも4ドアに準じると考えてよいが、デザイン優先でセンターピラーのないハードトップボディの場合は剛性面で劣ったようだ。
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ワゴンボディ、あるいは5ドアハッチバックボディはどうか?
これらはリヤに大きな開口部をもつため、やはり剛性的には3ボックス形状より不利だが、ルーフが車体後端まで長く伸びた形状であることから、車体後部の空力では逆に有利になる面ももっていた。
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では、ボディ形状の違いによる空力性能の差だが、空力性能を大きくわけると、空気抵抗の大小、ダウンフォースの大小という、背反するふたつの要素によって構成されている。同一車種でホディ形状の違いによる空力性能差は、主に車体の後部形状の違いによるものだが、よく知られるように速度の2乗に比例する空気抵抗値は、前面形状がほとんど同じ(前面投影面積もほとんど同じと考えてよい)同一車種の場合、かなりの高速走行域にならないと明確な差は生じてこない。
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逆のいい方をすれば、たとえばリヤエンドにスポイラーをもつスポーツグレードなどの場合(認可されたのは1990年代と考えてよい)は、それだけでリヤのダウンフォースを増す効果があるので、ホディに空力付加物を持たないモデルと較べて高速走行時の安定性で有利になるという利点がある。
では、車体剛性や空力の違いがもたらす走行性能の違いだが、厳密にいうなら車体剛性が高く、空力に優れたボディ形状が有利であることは確かだが、空力や車体剛性の解析レベルが、ひとつの車種でさまざまなモデルを展開していた1960年代後半からバブル期では、現代と較べるとかなり遅れていた(それほど重要視されていなかった)ということも見逃してはならない。
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それでも、たとえばボディ剛性についていえば、秒単位の遅速が問われる競技車両、たとえばラリーカーの場合、セダン、ハードトップ、3ドアハッチバックに2T-G型DOHCエンジンを用意していた70系カローラの例を見ると、ラリー参加者の一部はボディ形状の違いによる車体剛性の違い、また、車両重量がもっとも軽かった(他モデルよりマイナス20〜30kg)ことから、3ボックスセダンを好んで選ぶ傾向があった。ただ、そのことが戦績に直結したという結果は残っていない。
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そのほか、ボディ形状の違いから考えられる性能への影響は、車両重量の違いが挙げられる。当然ながら、車両重量は軽いほうが運動性能は良化する。また、前後/上下、前後オーバーハング重量のバランスも大きな要素となる。とくに重心点、ロールセンター/ロール軸の違いが問題となるが、正直にいって、この時代の性能配慮がそこまで進んでいたとは考えにくい。もちろん、低重心、適切なロールセンター位置、ロール軸の傾きなどが走行性能に影響することは明らかだが、3ボックスセダンだから、ワゴンだからと熟慮して作られていたわけではないようだ。
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結果論だが、実車の状態から振り返ってみると、じつはベーシックなモデルとなる3ボックスセダンがいちばん性能バランスがよかった例が多い。なぜかといえば、3ボックスセダンを車両開発の基本としていたからだ。バランスに優れるのは、ある意味、当然といってよいのかもしれない。