短時間の試乗でも体感できるAMGの魅力 ありがたいことに、筆者も少しばかりステアリングを握る機会をいただいた。貸し出されたのはGT63 S E PerformanceとA45 S 4MATIC+で、AMGのトップエンドとボトムを担う2台である。
まずはA45 S 4MATIC+でコースに入る。ボトムといえど、そのフードの下には400馬力オーバーの心臓を秘める正真正銘のハイパフォーマンスカーだ。先導車付きで隊列を組んでの走行ということで、正直なところ若干高を括っていた節があったのだが、その先導車が思っていた以上に快調に踏む。
遅れを取り戻すべく……が半分、少しばかり色気付いてしまったのがもう半分で、ブレーキを遅らせ気味でコーナーに進入してみる。わずかに4輪がスライドする感覚があったのだが、そこから先が意外なほどコントローラブルだったのに驚かされた。完全にオフにはしていない(安全上禁止されていた)電子制御デバイスがそっと手を差し伸べてくれた可能性はあるが、少なくとも明らかに電制が介入したな……と感じられる興醒めな動きではない。
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続いてGT63 S E Performanceに乗り換える。こちらは4リッターV8ツインターボエンジンにPHEVユニットを組み合わせ、システム最大出力は816馬力/1420Nmという超弩級マシンだ。恐る恐るといった調子でコースインするが、大人しく走っている限りは扱いにくさは皆無で、いい意味で普通のクルマ。世界のセレブがメルセデスAMGを愛するのにも納得できる。
しかしまあ、このクルマの本懐はそこではないだろう。コース内最長のストレートで、意を決してスロットルペダルを床まで踏み込んでみる。「シートに身体が押し付けられるような……」などと形容されるような加速かと思って身構えていたのだが、意外なことに加速感自体は想像していたほどではない。が、猛烈に速いこともまた事実で、ちらりとメーターを見ると、表示されている数字はとんでもないことになっている。声高にその存在を主張しないエンジンとそこに上乗せされるモーターのトルク、そしてAMGスピードシフトMCTによる瞬時の変速が揃って実現しているのだろうか、純粋なエンジン駆動車ともBEVともまた異なる加速マナーである。
コーナリングもまた印象的だった。それなりの高G旋回をこなしている時でも、アクセルを開けるとクルマがさらに強烈に曲がりたがるのだ。生理に反するほどにイン側へと向かうその感覚は、よく利く機械式のLSDが入ったクルマが示すそれにも似ているが、より滑らかでシームレス。瞬間的に大トルクを発生するモーターと、その駆動力を自在に出し入れできるリヤのeデフがあるからこそ為せる技だろう。
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とまあ、短時間の試乗ながらもすっかりAMGモデルの魅力にやられてしまったのだが、今回試乗したモデルが本来秘めている性能のうち、引き出せたのはほんのわずかだったことだろう。
それでもその実力の片鱗を味わえたことも確かなわけで、だからこそ実際に手に入れて心ゆくまで試してみたいと思わずにはいられない。もっとも筆者には逆立ちしたって叶わない願いであるが、今回参加した顧客たちも同様の思いで帰路に就いたのであれば、この試乗会の意義は大いにあったといえるのではないだろうか。
メルセデスAMGがオーナー向けサーキット試乗会を開催 画像はこちら