市販車最多は4タービンだが……
市販ガソリン自動車用としては、ブガッティ・ヴェイロン&シロンに搭載された8リッターW16気筒の4タービン仕様が最大個数といってよさそうだ。設計・生産はVW社で、同社が得意とする狭角15度のV6エンジン(1バンク)が基本となっている。このエンジンに2気筒を追加してV8化、さらに2基組み合わせてW16気筒としたものだ。
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考え方としては、この片バンク(8気筒)をツインターボ化したもので、過給システムは1タービン4気筒ではなく、8気筒に対して2段過給、2タービン化し、左右バンク合わせて4タービンとした方式である。過給方式の特徴についてはまた別の機会に触れたいと思うが、2段過給(2ステージ化)は、低域から高域までフラットなトルク特性やターボラグの発生を小さく抑えることができるため、質の高い出力/トルク特性をもつエンジンとして仕上げることが出来る。
また、タービン1基あたりの過給排気量は、ガソリンエンジンで4リッター前後と考えてよく、単純ないい方をすれば、8リッターエンジン(シリンダーは2バンク)なら片バンク1基のツインターボ方式でまとめることができる。
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逆に、マルチタービン方式のデメリットを考えてみると、まず、小排気量エンジンならマルチ化のメリットは考えにくい。たとえば、1.5リッターエンジンのツインターボ仕様はどうだろうか?
1.5リッターを過給するタービンは小〜中型タービン1基で十分にまかなえる。小径なだけに排気流に対するレスポンスがよく、ツインターボ化(2ステージ化)するメリットはほとんどない。逆に、タービンが1基増えることで3〜4kgの重量増と過給系のレイアウトが複雑化する。要求性能に対し、コスト、重量が無駄になるということだ。
これは大排気量エンジンに対しても同様で、タービン1基あたりのサイズが大型化、過給系のレイアウトまで含めると、とてつもなく重厚長大なシステムになってしまう。ちなみに、ブガッティ・シロンの8リッターW16気筒エンジンは、6500回転で1500馬力の出力、2000〜6000回転で163.2kg-mのトルクを発生している。
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全体個数としては合計4タービン、1シリンダー(=片バンク)に対してはツインターボ(2ステージ)で対応するシステムだが、この数値を目にしてパワー・トルクが不足していると受け取る人間が、果たしてどれほどいるだろうか?
キャブレターなら、最大個数はシリンダー数と同じ数(CRやCV)の装備が可能であり、セッティング、チューニングが十分ならば優れた性能を発揮するが、ターボチャージャーの場合は、タービンの過給容量やサイズ、重量を含めて考えると、装着個数を増やすことは逆にデメリットを生むことになり、現状、大排気量で4タービン、中間排気量で2タービン、小排気量ならシングルタービンで必要十分、という解が導き出されている。