この記事をまとめると
■東南アジアでHEV車種の拡充が急速に進んでいる
■BEVの価格競争と再販価値低下が流れを変えた
■原油高リスクもHEV普及を後押しする要因となる
BEV一辺倒から多様化へ
IIMS2026(インドネシア国際モーターショー2026)にて、会場内のトヨタブースへ行くと「目玉」として展示されていたのは、トヨタの海外市場向けコンパクトセダン「ヴィオス」のHEV(ハイブリッド車)、新興国向けコンパクトMPV「ヴェロズ」のHEV、そしてアルファードHEVのお買い得仕様車となっており、いずれも新規追加車種となっていた。
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日本市場では、トヨタのみならず多くの日系メーカーで売れ筋がHEVとなって久しい。調べてみると、新車販売全体におけるHEVの販売比率はほぼ5割となっていた。
このような日本の勢いに追いつけ追い越せではないが、筆者が訪れている東南アジアのタイやインドネシアでは、急速にHEVのラインアップが増えている。BEVの販売が世界的に減速傾向にあるタイでは、中国系メーカーが多数BEV販売メインで市場進出した結果、BEVの乱売傾向がほぼ恒常化しており、「予算はそれほどないが新車がほしい」というひとは、ローン審査がとくに緩いといわれる中国系BEVを購入するのだが、中国系BEVは再販価値の下落も激しいので日系HEVを選ぶユーザーが増えてきている。
このような状況下で、中国系もHEVやPHEV(プラグインハイブリッド車)のラインアップを増やしているのだ。インドネシアでは、極端にBEVを優遇する前にHEVに対する優遇策を充実させており、HEVのラインアップが増えている。
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話をIIMS2026のトヨタブースに戻すと、ヴィオスやヴェロズといった比較的手を出しやすいモデルは、HEVとは無縁のように感じていたのだが、あえて設定するということは、消費者からのニーズというものもあったものと考えている。
ホンダはタイにてオールラインアップHEV、つまりHEVのみのラインアップを進めており、インドネシアでも改良のタイミングでCR-Vの純ガソリンターボ車がラインアップから消えた。三菱自動車も売れ筋のコンパクトMPV「エクスパンダー」やコンパクトクロスオーバーSUV「エクスフォース」について、タイではHEVのみとなっているものの、インドネシアでは車両価格設定重視なのか、純ガソリンエンジン車のみのラインアップとなっている。タイとインドネシアでは自動車市場の成長度合いの違いでラインアップに多少の違いを与えているようであった。
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本稿を執筆する少し前に、アメリカとイスラエルがイランへの攻撃を開始した。“第5次中東戦争”と誇張した表現も出てきており、原油価格の高騰が世界的に危惧されている。
そもそも新興国でBEVへの興味を深めた背景にあるのが、大気汚染対策と原油輸入量の削減である。この点では、燃費性能がよくガソリン消費量の少ないHEVでも十分な効果が期待できる。紛争の行方次第となるが、原油価格高騰次第では、新興国でのHEV導入への積極度がさらに増していくのではないかと考えている。
BEVでは、普及価格帯となると圧倒的に中国系ブランドの存在感が高まってしまう。ところが、HEVとなると日系ブランドの存在感が増すので、選択肢が増えるという面で消費者もHEVへ移行しやすい環境を作ることができる。政府の思惑(大気汚染改善や原油輸入量の抑制)をかなえるスピード感も加速するものとも考えている。