こんなクルマ市販されてないじゃん……なんて思うのは甘い! スバルB9スクランブラーはその後のスバル車に繋がる要素てんこ盛りの激熱コンセプトカーだった (2/2ページ)

スバルの技術と思想を体現していた

 B9スクランブラーは見た目だけのモックアップではない。「SSHEV(Sequential Series Hybrid Electric Vehicle)」という新開発のハイブリッドシステムが、このクルマ最大の技術的ハイライトだった。

 このハイブリッドシステムでは、低速域はモーターのみで走り、エンジンは主に発電機を回すために使う。さらに高負荷時はエンジンがモーターに直接アシストを行い、高速域ではクラッチを締結してエンジン駆動に切り替わるという、低回転で強いモーターと中高回転で効率のいいエンジンそれぞれの特性を最大限に生かした、シリーズハイブリッドとパラレルハイブリッドのいいとこ取りのようなシステムだった。現在でいえばホンダのe:HEVがもっとも近い構造となる。

 搭載されるエンジンは、もちろんスバル伝統の2リッター水平対向4気筒SOHCで、最高出力は140馬力。駆動用モーターは135馬力を発揮した。もちろんシンメトリカルAWDの構成もしっかり守られており、エンジン後方に発電機、モーター、トランスミッション、プロペラシャフトを一直線に並べたレイアウトもスバルらしいところだ。

 走りの性格もコンセプトに忠実だった。足まわりにはエアサスペンションを採用し、最低地上高を150mmから200mmの間で調整可能。最大値の200mmはスズキ・ジムニーに匹敵する高さで、「オン・オフを問わず走れるオープンカー」というコンセプトがそのままスペックに反映されていた。さらにステレオCCDカメラ、ミリ波レーダーを利用した運転支援システム「ADA」も搭載。このシステムをもとに「アイサイト」が完成したことはいうまでもない。

 残念ながら、B9スクランブラーのコンセプトそのものは市販車に結実することはなかった。しかし、その要素要素は後の市販車に市販車にしっかりと落とし込まれたという点で意義深い1台であったとともに、水平対向エンジン、AWD、そしてアウトドアと走りを愛するブランドイメージ、そのスバルらしさすべてが詰め込まれたコンセプトカーだったといえるだろう。


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