タイヤの扱いに苦戦するもクルマの仕上がりは上々
翌12日(日)の決勝日も薄曇りではありましたが、気温と路面温度は前日と大きく変わらず、初夏のような陽気となりました。決勝前に行われた20分間のウォームアップ走行では、セットアップの見直しやフロントタイヤのみを交換するシミュレーションをおこないました。
練習走行や予選で使った硬めのタイヤのライフを考慮すると、タイヤ無交換作戦やフロントタイヤのみの交換という選択肢も視野に入ります。これまでなら4輪フル交換が必須だったことを考えれば、新エンジン搭載に合わせてマシン特性によい変化が起きていると思われます。
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決勝は井口選手がスタートを担当しました。25番手スタートから毎周のようにポジションを上げていき、29周目に山内選手へ交代する頃には、13位までポジションアップを果たしていました。
ピットインのタイミングにおいて、現在のポジションを考慮するとタイヤ無交換作戦を行うメリットが薄いこと、そしてタイヤ自体のパフォーマンス低下を考え、フレッシュなタイヤで走った方がよいと判断。4本フル交換と給油を行い、山内選手がコースに復帰しました。ピットインによって落としたポジションを再び取り戻していきます。
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その後、山内選手のさらなる追い上げが期待されましたが、17位までポジションを戻すのが精一杯となり、そのままチェッカーを受けました。
戦いを終えた井口選手は、「予選で下位に沈んでしまったため、決勝ではとにかく追い上げるという強い気持ちで挑みました。今回持ち込んだ硬めのタイヤなら決勝で力強く戦えると思ったのですが、結果的に厳しい状態になってしまい、4本交換をしたほうがよいとチームに伝えました。山内選手には4本交換した状態で行ってもらうことにしました。どうしてあまりポジションアップができなかったのか、今後検証しなくてはなりませんが、優勝したのが同じダンロップタイヤ装着車なので、その事実もしっかりと受け止めなければなりません」
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「いままでであれば、タイヤがキツくなるとポジションを落としてしまうことが多かったのですが、今回はEG33エンジンのポテンシャルに助けられた部分もありました。この新しいエンジンを活かせる走りができるように、次戦に向けて取り組んでいきたいと思います」と語ってくれました。
レース後半を担当した山内選手は、「なんとも言えない結果になってしまい、申し訳ないという気もちでいっぱいですし、悔しさもすごく強いです。決勝前のウォームアップでフロントタイヤだけを交換するトライも行ってみましたが、今回はメリットがないと判断しました。レース中も思った以上にタイヤのグリップが発生していなかったので、4本交換で後半に挑みました。しかし、それでもグリップが引き出せなかったので、なにが原因なのか、いまは『?』がいっぱいの状態です」
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「後半、もっと追い上げたかったのですが、タイヤにはそこまでの手応えがありませんでした。しかし、EG33エンジンのパワーとトルクのおかげでなんとか踏ん張れたのだと思います。マシン全体、タイヤやそのほかのトータルでの組み合わせがまだ十分ではないのかもしれません。ただ、テストではいい手応えがあったので、ここにきて急に変化してしまった原因を探っていかなければなりません。それでも、今週はまったくのノートラブルで走り切れたので、そこはポジティブな要素だと思います。新しいエンジン開発に携わってくださった皆さんやファンの皆さんと、最後は笑顔でレースを終えられるようにしていきたいです」と語ってくれました。
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小澤総監督は、「冬の間にテストをしてきた状況と今回の路面コンディションが異なっていたとはいえ、その環境変化のなかでタイヤをうまく使いこなすことができませんでした。その結果としての予選順位が、今回のすべての結果に繋がってしまいました。持ち込んだタイヤとシャシーとのマッチングなのか、路面とのマッチングなのかを検証していかなければなりません。フリー走行で6番手タイムが出ていたり、持ち込んだタイヤのライフなどを考慮すれば、無交換作戦なども視野に入る状況でしたが、結果として4本交換を行ってもタイムが上がらず、苦しい展開となってしまいました」
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「新しいEG33エンジンは燃費も悪くなく、ピットウインドウの幅を少し広くとることができるようになったため、戦略面でもさまざまな選択肢を考えられるようになりました。エンジンのフィーリングはいいので、今後はシャシーとタイヤのバランスを含め、さまざまな気温や路面温度、そして多種多様なタイヤに対して柔軟に対応できる、懐の深いマシンを作っていかなくてはならないと感じました」とコメント。
新エンジン自体に手応えを感じている一方で、全体のパッケージをそのときの状況にいかにうまく合わせられるかが今後の課題とのことでした。
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新しく搭載されたEG33型水平対向6気筒ツインターボエンジンのデビュー戦は、ほろ苦い17位という結果に終わりました。今シーズンの戦いを通じて、この新パッケージがどの程度成長し、熟成が進むのか期待したいところです。
次戦は5月3日(日)、4日(月・祝)に富士スピードウェイで「FUJI GT 3Hours RACE GW SPECIAL」が開催されます。昨年は苦戦を強いられた富士スピードウェイですが、今シーズンは富士に置いてきてしまったものを取り返しにいきます。