ドライバーとクルマがどうしても噛み合わないジレンマ
迎えた決勝、朝方まで大雨と強い風が吹いていましたが、決勝レースが始まるまでには雨も止み、晴れ間が見えるまでに天候も回復します。午前中にFIA-F4が2レース行われたこともあり、路面もどんどん乾いていきました。
しかし、決勝が始まる前に行う20分間のウォームアップ走行で、セットアップの最後の確認をしている最中に、左前タイヤがバーストしてしまいます。ゆっくり走行してピットに戻り左前を確認しますが、異常は見当たらなかったため別のタイヤを装着して走行を再開します。決勝を前に一抹の不安がよぎります。
スターティンググリッドの先頭に並ぶBRZ。多くのファンが駆けつけ、決勝前にはファンミーティングも行われ、ファンは声援をチームとマシンに送ります。グランドスタンドのファンに手を振るドライバーにも笑顔が見えます。
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そして13時。いよいよ3時間の長いレースがスタートしました。スタートドライバーを務める山内選手は後続をぐんぐん引き離していきます。ペースの良さから「余裕のぶっちぎり」かと思いましたが、徐々に後続マシンのタイヤも温まり、追い上げが始まってきました。それでも順調にトップ走行を続けていましたが、突然左前のタイヤがバーストしてしまいます。
これはウォームアップ走行と同じ原因と思われます。ドライブしていた山内選手は「突然計器に異常が現れたのですが、その後復帰したこともあり異常を感知するのに時間がかかってしまい、無駄に走行を続けてしまうことになりました。計器を信用することも大事ですが、ドライバーとして異常を感知してすばやくピットに戻る判断ができていれば……」と、トラブルが出てしまったことと、判断が遅れてしまったことを悔やんでいました。
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それでもピットにマシンを戻してチェックをし、問題ないということで再び新しいタイヤを装着して戦線に復帰します。今回の3時間レースでは2回のピットインが義務付けられているため、トラブルによる消化とはいえ、ルール上はここで1回目の義務を果たしました。
その後はいつもの山内劇場よろしく、前を行くマシンをどんどん追い抜き、7位まで戻して井口選手にマシンを託します。
井口選手に交代後も順調なペースで、タイヤやマシンに異常もなく順調に周回を重ねていました。
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しかし、レースも残りわずかというタイミングで、突如としてマシンをコースサイドに止めてレースを終えてしまいます。昨年行われたスーパーGT富士大会でも、井口選手が乗車しているときにトラブルが発生し、レースを終えています。その悪夢再びのごとく、井口選手はマシンをコースサイドに止め、呆然とコースを見つめていました。
とはいえ、今回のレースにおける規定周回数74周を上まわる93周を走行しており、結果としてはトップから14周遅れの27位完走扱いとはなりました。
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レースを終えた山内選手は「どういうふうに受け止めたらよいのかわからないですし、どう言葉にして皆さん伝えればいいのかわからないです。しかし、起きてしまったことは仕方ないことですので、見直してまた頑張るしかないと思います。みんなで笑顔でチェッカーを受けたかった」と沈痛な面持ちでした。
コースサイドにマシンを止めた井口選手は「予選まではすごくいい流れでした。圧倒的に速いBRZを皆さんに見せることもできました。しかし、3時間走りきれなかった。最後はチェッカーを受けたかったです。去年も最後半周でトラブルで止まってしまった悔しい思いがあったので、今回こそはチェッカーを受けたかったです。勝てるタイミングだったので勝ちたかったです」と悔しい表情を浮かべていました。
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小澤総監督は「我々のチームはいままでタイヤバーストをさせたことがなかったのですが、それなのに2回も起きてしまいました。そのため、使う予定とは違うタイヤを使うことになってしまったり、追い上げが厳しくなってしまったこともあります。タイヤに関してはダンロップさんとよく話し合っていきたいと思います。トラブルに関してはレースを終えたばかりでマシンも戻ってきていませんので、なんとも言えませんが、おそらく駆動系だと思います。エンジンが変わってパワーやトルクが出ているので、駆動系には注意を払っているのですが、それ以上に疲労が出てしまっているのかもしれません。対策品を含めて検討していかなくてはなりません。とにかく期待に沿うことができず非常に悔しいです」と語ります。
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いままではホームストレートでライバルに抜かれるシーンが多く見られましたが、今回はライバルを追い抜く、もしくは後続を引き離していくという速さを見せてくれました。また、コーナリングマシンとしての従来から持つ強さも見せてくれました。
それだけに、トラブルが重なったことで勝てるレースを落としてしまいました。次戦はマレーシア・セパン戦が世界情勢を鑑みた結果キャンセルとなったことで、8月に行われる真夏の富士大会となります。
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幸いにして準備期間が長いため、原因究明と対策をしっかり行うことができるはずです。真夏の富士でBRZがより強くなった姿を見せてくれることに期待したいと思います。