この記事をまとめると
■SUVやハッチバックではリヤワイパーが後方視界確保に大きく役立つ
■不要派はデザイン性や撥水技術の進化を理由に取り外しを選択している
■豪雨や泥はね時には物理的に汚れを除去できるリヤワイパーが強みとなる
リヤワイパーはいる? いらない?
自動車の装備において、これほどまでに「必要派」と「不要派」が真っ向から対立し、かつ個人の美学が反映されているパーツも珍しいかもしれない。なんの話かといえば、「リヤワイパー」についてである。雨の日や降雪時などに後方視界を確保するための実用パーツだが、一部のユーザーからは「真っ先に外すべき無用の長物」として、忌み嫌われている存在でもある。
壊れているわけでもないのに、わざわざ手間をかけて取り外す人々がいるいっぽうで、「ないと不安だし、わざわざ取り外す人の気が知れない」という人々もいるこの論争。それぞれの心理と、現代の交通社会におけるリヤワイパーの存在意義について考察してみることにしよう。
リヤワイパーを支持する人々の主張はきわめて合理的だ。その根底にあるのは「視界の確保こそが安全運転の基本である」という信念である。
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ハッチバックやSUVなどの、車体後方が垂直に近い形状のクルマは、走行中、背後に空気の渦が発生し、路面の泥水や雨粒を巻き上げやすい。またリヤウインドウと道路との直接的な距離も近いため、跳ね上がった泥や水滴によってリヤウインドウは瞬く間に汚れ、後続車のライトが乱反射して距離感をつかみにくくなる。そんなとき、サクッと視界を復活させてくれるリヤワイパーは、まさに救世主と化す。
そして雪国に住むドライバーにとって、リヤワイパーの有無は死活問題となる。リヤウインドウに積もった雪を物理的に排除しなければ、雪国における後方視界は完全に「壁」と化す。デフォッガーだけでは溶かしきれない重い雪を動かすには、やはりワイパーの力が必要なのだ。
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またそのほか、「付いているものは使う」という実用主義者もいる。メーカーがコストをかけて装着している以上、それは必要なものであり、だから使うのだという考え方だ。バックカメラが普及した現代でも、カメラのレンズ自体が汚れることは多々ある。目視で直接後方を確認できる安心感に勝るものはないだろう。
そのいっぽうで、リヤワイパーを「不要」とし、あえて取り外す(リヤワイパーレス化する)人々には、独特の心理とこだわりがあるようだ。
こだわりのひとつは「スタイリングの純粋性を守りたい」という意識だ。デザイナーが描いた流麗なボディラインにおいて、リヤウインドウに鎮座する黒い棒とゴムは、いわば「ノイズ」に見える。リヤまわりをとにかくフラットに、シンプルに美しく見せたい──という目的で、彼ら・彼女らは、もともと付いているリヤワイパーをわざわざ外すのである。
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そしてもうひとつのこだわりは「使わないから外す」というものだ。最近の撥水コーティング技術は凄まじく進化しており、強力な撥水剤を塗布しておけば、走行風で雨粒が飛んでいくことも多い。そして「そもそも自分は後方の詳細な状況をドアミラーで確認しており、リヤウインドウ越しの情報はさほど重視していない(だからリヤワイパーを外す)」というユーザーも多いようだ。またさらに近年は、ルームミラーを液晶画面にするデジタルインナーミラーの普及が、物理的な視界確保の優先順位を下げたという側面もあるだろう。