日常の良き相棒にもってこい
現実的な話としては、O319の現在の市場価格は15万〜20万ドル(日本円にして約2300万〜約3100万円)。近年の海外オークションでは、極上個体はこのレベルの価格で落札されており、1000万円台なら「お買い得」といわれるという、もはや美術品的な世界。商用車として使い倒された個体が多いため現存数が少ないことに加え、メルセデス・ベンツという「ブランド力」も伴っていることが、この異常な(?)高値を支えているようだ。
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そして、もしも運よく手に入れたとしても、メンテナンスは当然ながらイージーではない。本国ドイツにはまだパーツ供給ルートがいくつかあるものの、そういった本国の供給網を味方につけられる主治医(腕利きの専門ショップや専門工場)を見つける必要は絶対にある。そのような不便さを「贅沢な時間」として楽しめる精神的な貴族でなければ、O319と生活をともにするのは難しいだろう。
とはいえ、もしも筆者がO319という「高貴なタヌキ」を手に入れたならば、以下のような使い方をしたいとは夢想する。
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●「究極の移動オフィス」として活用する
広大な室内空間に、お気に入りの北欧家具をいくつか固定し、最高級のコーヒーミルも積み込む。そして海辺の駐車場などに停め、パノラマウィンドウから景色を眺めながら仕事をする。それはいわゆる「最高の孤独」と「絶景の仕事部屋」であり、これ以上の贅沢はないだろう。
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●「キッチンカー」として活用する
このルックスのキッチンカーが街角に現れたら、誰もが足を止めるはず。「映える」などという言葉では足りない、圧倒的な存在感だ。そしてライター業を引退し、クラフトビールやオーガニックな焼き菓子、あるいはお弁当などをO319で販売する移動ショップを開業すれば大行列間違いなしであり、売上もけっこうなものになるだろう。ただし、ベース車両だけでも数千万円なので利益はほとんど出ず、あっという間に負債を抱えて廃業してしまいそうなのが難点だが。
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●スローキャンプ&スロートリップ
高速道路をカッ飛ぶのではなく、下道をトコトコと走り、スローなキャンプまたは旅に出る。目的地に着くことよりも、このタヌキとともに過ごす時間そのものを楽しむわけだ。いろいろと不便もあろうが、この顔と目が合うだけで、すべてを許せそうな気はする。
たとえO319のオーナーになれなかったとしても(実際、なかなか難しいだろう)、街のどこかでこのタヌキと目が合うだけで、私たちはどこか救われたような気持ちになる。なにかとギスギスした現代の交通社会において、O319が放つ空気は、それ自体が希少な天然記念物のようなものだ。
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かつて西ドイツの街角を支えた働き者は、いまや選ばれし者の特別な休日を彩る至宝となった。筆者には残念ながら無理だが、大金持ちの方は、ぜひご注目いただきたい。