日本への導入は未定
しかし、その中身やキャラクターを知るにつれ、かつてのP10型やP11型をリアルタイムで知る熱狂的ファンからは、「これじゃない……」という複雑なタメ息が漏れてくるだろう。そう感じてしまう最大の理由は、あまりにもドラスティックに変化したそのキャラクターと巨体にある。かつてのプリメーラは、日本の狭い路地でもスイスイ走れるコンパクトなボディに、少し路面の凹凸を拾うほどの硬派な足まわりで「運転の楽しさ」を追求したセダンだったからだ。
ベースとなったN7のサイズ感は全長4.9m超、全幅約1.9mに達する、堂々たる大型モデルであり、今回アピールされている要素が「抜群のハンドリング」や「硬派な走り」ではなく、「上質な快適性」「デジタルなコネクティビティ」といった、高級ハイテククルーザー的な価値観にシフトしている。もちろん、EVならではの低重心を活かしたスムースで力強い走りは期待できるだろうが、あの「究極のFFハンドリングマシン」と呼ばれたソリッドな乗り味を期待すると、肩透かしを食らう可能性が高い。
日産プリメーラの走行シーン画像はこちら
往年のファンから見れば、中国市場向けEVセダンN7に伝統のプリメーラという名前を与えただけのモデルに映るかもしれない。オールドファンが一抹の寂しさと「これじゃない感」を覚えてしまうのもいたしかたないだろう。
もうこの時点で、日本への導入を熱望しているファンはそれほど多くなさそうではあるが、新型プリメーラEVの、現時点での日本市場への導入については「未定」となっている。
現状、日本のセダン市場は冷え込みが続いており、日産の国内ラインアップにおいては、いわゆる3ボックスセダンはスカイラインのみという絶滅寸前の状態だ。ただ、日本市場ではEVセダンの選択肢がまだ限られており、BYDシールやテスラ・モデル3などの輸入車勢への対抗馬として日産ブランドの大型EVセダンが投入されれば、一定の注目を集める可能性はある。なにより「プリメーラ復活」というニュースだけでも、多くの関心を引くことは間違いないだろう。
ここのところ日産からは、すでに欧州で販売されている「マイクラ(マーチ)」や、北京モーターショーで公開された「テラノPHEVコンセプト」など、往年の名車を復活させることが多い。そのなかに今回、「プリメーラ」が加わった。かつてのプリメーラとは似ても似つかない大柄なEVセダンになったとはいえ、歴史ある名車を、日産が完全に見捨てていなかったこと自体は歓迎すべきだろう。
日産テラノPHEVコンセプトのフロントスタイリング画像はこちら
これじゃないと突っ込みつつも、いつか日本の地で、その「新生プリメーラ」のステアリングを握り、日産がそこにどんな走りのエッセンスを残したのかを確かめてみたいものである。