アウディの未来像を告げるモデルだった
ヌヴォラーリ クワトロは、2ドア2+2シーターのクーペとして設計された。ボディは最新世代のアウディ・スペースフレーム(ASF)によるアルミニウム構造を採用。押し出し材とダイキャスト部品を組み合わせた軽量・高剛性な構成は、当時のA8のアーキテクチャと同様のアプローチだ。
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その心臓部には新設計の5リッターV10ツインターボエンジンを搭載し、最高出力600馬力、最大トルク750Nmを発生。0-100km/h加速4.1秒、最高速度は250km/hに制限されている。駆動方式はいうまでもなく4WDで、6速ティプトロニックと組み合わせられる。
そして、このモデルのなによりのハイライトといえるのがそのデザインである。2002年にアウディのデザインディレクターに就任したワルター・デ・シルヴァが牽引する新たなデザイン言語を全面的に導入。その最大の特徴となるのは、やはり逆台形に大きく口を開けた「シングルフレームグリル」だろう。
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このシングルフレームグリルは、アウトウニオンが1936年に手がけたレースカー「タイプC」を参考にデザインされたという。モデル名と同様、アウディの原点へのリスペクトを窺い知ることができるわけだ。シングルフレームグリルは、2004年に3代目A6(C6系)として市販車に初導入。その後すぐにA4にも取り入れられ、そこから二十余年を経た現在に至るまで、ディテールを変えながらもアウディ車のデザイン上のアイコンとして機能しつづけていることは周知のとおりである。
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そして、冒頭に記したとおり、ヌヴォラーリの名はふたたび蘇った。R8以来のアウディ謹製スーパーカーというだけでなく、そのスタイリングはアウディの現行ラインアップのどれとも異なる、新時代を予感させるものだ。それもそのはず、奇しくも新生ヌヴォラーリは、2024年にアウディのチーフデザイナーに就任したばかりのマッシモ・フラスチェッラによる新たなデザインフィロソフィーを本格採用した初の市販モデルなのだ。
ちなみにフラスチェッラは、”The Radical Next”と呼ぶそのデザインフィロソフィーを初採用したコンセプトカー「コンセプトC」の発表時に、1936年のアウトユニオン・タイプCや2004年の3代目A6にインスパイアを受けたと語っている。そう、どちらも2003年のヌヴォラーリ クワトロと深くかかわるモデルなのだ。
これらの事実を並べてみれば、「ヌヴォラーリ」の名を冠して世に出た2台がもつ奇妙な共通点は、単なる偶然として片付けるにはいささか出来すぎているように思える。新旧ヌヴォラーリに共通するのは名前だけではなく、「アウディが未来を提示するとき」という文脈もまた、共有されているのかもしれない。