スバルはノートラブルで走り続けた! S耐富士24時間レースでハイパフォX2が速くて壊れないことを証明 (2/2ページ)

予選では過去最高位の順位を獲得し決勝も順調に走行

 木曜日の練習走行でマシンのセットアップを決め、金曜日に行われた予選ではAドライバーでスバル社員の伊藤和広選手が1’51.135、Bドライバーの山内英輝選手が1’49.985を記録し総合21位となりました。その後、Cドライバーの井口卓人選手、急遽参戦となったDドライバーの鎌田卓麻選手、Eドライバーの伊藤 奨監督兼チーフエンジニアが基準タイムをクリアしていきます。

 全11クラス61台が出走する今回の富士24時間レース。ハイパフォX2がライバルと想定しているST-2クラスのシビックタイプR、ランエボX、GRヤリスなどの前からのスタートとなりました。

 決勝スタートは土曜の15時。いよいよ24時間と言う長いレースが始まります。スタートは山内選手が担当し、順調に順位を上げてレースを進めていきます。

 その後、伊藤和・伊藤奨・井口・鎌田・伊藤和と1スティント1時間30分をこなし順調にレースが進んでいきます。日付けが変わる深夜にかけて、山内と井口がそれぞれWスティントの走行を行います。

 明け方6時に10分間のメンテナンスタイムを取ります。これは24時間レースだけに設けられる特別なルールで、24時間のうちどこかで10分間のメンテナンスタイムを取らなくてはなりません。主にブレーキまわりをごっそり交換するなど安心して走行を続けられるような整備や、車両に不具合があった場合の修復などに使われます。

 ここでもスバルは、プロメカニックの迅速な作業とエンジニアの協力により、きっちり10分でマシンをコースに復帰させました。

 夜があけて朝を迎えるのもひと苦労の24時間レース。今回はここまでいくつかのFCY(フルコースイエロー)の車速制限はありましたが、重大な危険が起きた場合のSC(セーフティカー)の出場や、赤旗中断などが無いクリーンなレースが行われています。

 ゴールとなる日曜は、天気が徐々に崩れて雨が降るという予報が出ており、いつどのくらいの量の雨が降るのかと言うのがポイントでした。

 9時すぎに1回パラパラっと雨は降り、その後も何度か弱い雨がコースの部分的に降りましたが、コース1周のことを考えるとウェットタイヤに交換するほどでもなく、スリックタイヤで我慢の走行を続けることとなります。それでもハイパフォX2は抜群の安定感を示して走行を続けます。

 そして、15時チェッカーを目前にして本格的に雨が降り始めました。各チームがピットインしウェットタイヤに交換していきます。もちろんハイパフォX2もピットイン。最後のスティントにチーム監督の伊藤が乗り込みコースに戻ります。雨の練習も兼ねてということもありましたが、伊藤は順調にマシンを進めて、日曜の15時に無事24時間レースのチェッカーを受けました。

 総合順位16位。ST-Qクラス1位。721周を周回し過去最高の結果となりました。ハイパフォX2より上位はST-X、ST-Z、ST-1というレーシングカーだけとなり、いわゆる市販車を改造したマシンのなかで最上位となりました。

 ST-QクラスというSTMOが認めたメーカー開発車両ではありますが、市販車のボディとエンジンなどを使ったマシンであり、そう遠く無い将来のスバルの量産車に生きる制御などの開発を行っているマシンで、ノートラブル・ノーペナルティで完走を果たした結果は、今後に向かって大きな前進となることでしょう。

 Bドライバーとしてマシンの開発を主に行い、今回もチームのなかで最大周回を走り、雨が降り出すタイミングで走りを任された山内選手は「事前に話し合いを行ったときに、神頼みではなくしっかり準備をしていこうと決めました。みんなで勝って喜びあおうという目標がしっかり結果に結びつきました。最高の終わり方になったと思います」と言います。

 同じくプロドライバーで夜間に多く走った井口選手は「細かい部分をいえば、ああしたいこうしたいと言うところはありますけど、24時間どのスティントもマシンのバランスはとてもよかった。安定して走りきれたのでよいデータを取れたと思います。エンジン制御を少し抑えていることもあって燃費もよかったですし、AWD制御もいろいろ試すことができました。乗っていて楽しかったので、Wスティントを走っても全然長く感じられなかったほどです」と楽しく走れたと言います。

 急遽参戦となった鎌田卓麻選手は、「前回出たのはBRZのときだったので、今回のハイパフォX IIの進化具合に、乗り始めは慣れるのに苦労しました。そのなかで自分の技術で走らせる部分とマシンに任せて走らせる部分とをうまく融合させていく。そういうことをしているのかなと感じました。それを理解できるとすごいマイルドでよいクルマなんだなということを感じられました。他のドライバーは毎回このマシンに乗っているので、変化や違いも分かるかもしれませんが、初めて乗る自分はこう感じたという意見もちゃんと聞いてもらえたので、今後の開発の一助になればいいなと思います。スバルユーザーとしても今後の進化が楽しみですし、なにより楽しかったのでまた機会があったら乗りたいです」と語ってくれました。

 Aドライバーを努める伊藤和広選手は「自分たちの目標はクリアできたと思います。自分自身の問題はいくつかありましたけど、スピン制御なども自分自身で経験してよい結果になっていることも確認できました。パワーを落としていますがトルクをアップさせて走りやすくなっていますし、燃費もよくなっています。ピットインなどの戦略の幅が広く取れるようになったりと、大きく進化していることを実感できました」と言います。

 チーム監督兼チーフエンジニア、そしてドライバーとして参戦した伊藤 奨氏は、「もてぎ、鈴鹿とトラブルが出ていました。今回の24時間レースのなかでは一度もトラブルが出なかったことは、エンジニアのみんなもうれしかったと思いますし、自分自身もうれしかったです。スティントごとに走り終わってデータを確認し、ドライバーが安心して走れるように心遣いをしてきました。新しい技術もしっかり成果を出してくれました。この結果を次に繋げていきたいです」と喜びとともに成果が出たことにホッとしていました。

 チーム代表の本井雅人は「新しいクルマになって速さは出てきているのですが、乗りにくい部分があったり、ドライバーにより差が出てきたりといろいろ課題がありました。今回は不具合部分も全部見直してきましたし、盛り込んだこともしっかり機能してくれました。よい結果になって本当にうれしいです。これらの制御などをお客さまに還元できるようにしていくのが参戦目的のひとつでもありますので、今後の市販車にどう活かせて行けるのかなどを検討していきたいと思います」と語ってくれました。

 お祭り的要素が大きい24時間レースですが、実際にクルマを走らせているチームは24時間マシンのことを気にかけて走らせています。今回、スバルチームはノートラブルで走り切ることができました。この技術力が次に繋がっていくことに期待したいと思います。

 今回のレース中にスバルはラウンドテーブルを開催しており、マニュアルトランスミッションを搭載したWRXやBRZのコンプリートカー、さらにコンセプトを少し変えた5ドアハッチバック車の登場を予告しました。S耐で磨きあげた技術が投入されるかもしれません。今後のS耐の活動とその後の量産車の展開にも期待がもてそうです。

 次戦のスーパー耐久は7月4〜5日にスポーツランドSUGOで開催されます。その月末の7月25〜26日には九州オートポリスで第5戦が開催されます。ハイパフォX2がどのような活躍を見せるのかに期待したいです。


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