【試乗】ミニバンのファミリー臭が嫌……だったらプジョー5008ってのはどう? 3列シートもばっちり使えるオシャレSUVは走りも上質だった (2/2ページ)

3列シートを望む人が選ぶべきクルマ

 そうした作りわけの根っこにあるのは、いうまでもなく3列+7人乗りのシートレイアウトなのだけど、1列目の2座は当然として、2列目の3座も3列目の2座も、それぞれが独立したシートとされている。2列目の3座のそれぞれをリクライニングさせたり倒したりすることが可能で、6対4の分割で前後にスライドさせることもできるから、それらを上手に調整することで、3列目の乗員もほどほど以上に快適な空間を得ることができるのは軽い驚きだった。

 SUVの3列目シートはエマージェンシー用に感じられるケースも少なくないのだが、フロアが高めで大人にとって理想的な着座姿勢はとりにくいものの、数時間の移動なら問題なく過ごせるんじゃないか? と感じられた。もちろん3列目の背もたれをパタンと折りたためば、そこは十分な広さをもったラゲッジスペースとなる。5008の後ろ半分は、十分以上に有用なのだ。

 肝心の走りはどうかといえば、それは上質のひと言に尽きる。3008と同じく最新のSTLAミディアムというプレットフォームは剛性感もたっぷりあって、そこにマウントされてるサスペンションも滑らかに実直に上下する。猫足というにはちょっと筋肉質な印象だけど、乗り味は総じてまろやかでしなやか。どこかしっとりしていて、はっきり快適といえる水準にある。

 ホイールベースが伸びたことによる恩恵は直進安定性に表れていて、3008でも優秀と感じたのに、さらに素晴らしいレベルに引き上げられている。一方、コーナーでは旋回してるときにリヤタイヤが後ろにあることがわかる動き──フロントに対してリヤがゆっくり追従してくるような印象──を見せるのだけど、鼻先の軽さが効いてノーズそのものはスッと素早くインを向こうとしてくれるから、ダルさのようなものはまったくなく、気もちのいいコーナリングを楽しめる。プジョーらしい操る楽しさは、少しも損なわれていなかった。

 ただひとつ、ちょっとばかり懸念を感じたのはパワートレインだ。搭載するのは1.2リッター3気筒ターボをベースとする48Vのマイルドハイブリッド。ステランティス各ブランドに採用されている、メインストリームといえるものである。

 フィアット、アルファ、ジープ、シトロエンのコンパクトなモデルではものすごく好印象だったし、個人的にはかなりの名機だとも思ってる。けれど、さすがに1.7トンを越える5008だ。エンジンで136馬力と230Nm、48Vモーターで22馬力と51Nmというアウトプットでは物足りなさを感じるんじゃないか? と、試乗前に予想してたのだ。

 それはほとんどの場面では杞憂に終わった。日常的な領域ではスルスルと力強く加速して、必要なスピードを刻んでくれる。小さいながらもモーターのアシストが効いていて、街なかでも高速領域でもちょっとした峠道でも、そう不満を覚えることはなかった。が、それはいずれも僕ひとりで走らせてたときに感じたこと。今回は7人フル乗車は試してないし、荷物だって何ひとつ積み込んでない。それらを満載したときには、どう感じるのだろう? なんて心配してたりする。

 それにこの車格なのだから、高速道路の合流とかきつめの登り坂とかでアクセルペダルをガバッと踏み込まなくても余裕でいけちゃうぐらいのパワーやトルクがあったらもっといいのに、と感じた場面もあった。いや、繰り返すけど、普通に走ってる限り、不満らしい不満はないのだ。ただ、せっかくの完成度が高いフラッグシップSUVなのだから……という欲深い気もちが生まれてしまっただけ。1台のSUVとしての総合得点は、かなり高いところにあるのは間違いない。

 前述のとおり僕は独り身だしライフスタイルとしてシートはふたつでも十分というクルマの使い方をしてるから3列目のシートに惹かれたりはしないのだけど、そこを望む人が選ぶクルマとして、この5008は十分に選ぶに値するモデルだと感じてる。


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嶋田智之 SHIMADA TOMOYUKI

2026-2027日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
2001年式アルファロメオ166/1970年式フィアット500L
趣味
クルマで走ること、本を読むこと
好きな有名人
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