アメリカに渡りゃ軽トラも価値が上がる! 超巨額詐欺師のカーコレクションになぜか含まれていた軽トラのオークション落札価格とは (2/2ページ)

なんてことない軽トラが日本の相場をはるかに上まわった

 そこに出品されたクルマたちは281台。なかには、フォードGT ヘリテージ(2006年式)や、アストンマーティンDB5 ヴァンテージ仕様(1964年式)、トヨタ2000GT(1967年式)、ランボルギーニ・ミウラ(1969年式)、メルセデス・ベンツ 300SL、フェラーリ 225Sベルリネッタ(1952年式)などなど、博物館級のクルマが大量に出品された。これらは当然、1億円を超える落札額を連発、225Sベルリネッタに関しては、日本円にして当時2億9400万円であった。なお、このオークションには世界53カ国から2500人以上が参加したそう。

 そんな名だたる名車が集まるなか、日本の軽トラまで同氏のコレクションとして出品されているのだからおもしろい。ではこのキャリイ、何か特徴的な要素はあるのだろうか?

 ……結論からいってしまえば、申し訳ないのだがじつはこのキャリイ、とくにこれといって車両に関するトピックはない。日本初の軽トラでもないし、著名人の元愛車とか、限定車でもない。ただ、年式と軽トラックという性質を考えれば、このキャリイはなかなか上物で、走行距離もたった7.4万km。大きな凹みやサビもなく、程度はよさそうだ。しかもパートタイム式4WDに5速MTである。

 車検シールや定期点検ステッカーが貼られており、車検シールには「19」「6」、定期点検ステッカーには「18」「6」という数字があることから、平成19年ごろまでは稼働していた車両と思われる。その後はあまり傷んでいない様子から、納屋に眠っていたのだろうか。オークションは2020年なので、どこかのタイミングで発掘され、アメリカのインディアナ州に旅立ったと推測できそうだ。格好よくいえばバーンファインド的な感じで発見されたのかもしれない。

 RMサザビースではこの車両の概要を、以下のように説明している(日本語訳)。

・日本市場向け右ハンドル車の例
・軽量で実用的で魅力的なピックアップトラック
・350kgの耐荷重を備えた、小型ながら優れた移動能力を持つ荷台
・全輪駆動とエアコンを搭載
・物を運ぶのが一番楽しい

 ちなみにあおりには「カーサイクルセンター足立」というステッカーが貼られており、調べたところ現在は廃業している岐阜県の中古車屋がヒットしたので、岐阜県で活躍していたクルマが、はるばる海を渡ったと見ていいだろう。

 ここ数年、「こんなに小さくて荷物が載るピックアップトラックがあるなんてクールだぜ!」なんていいながら、アメリカでは軽トラックが大人気で、25年ルールの縛りが取れた軽トラックがじゃんじゃん海を渡って輸入されているそうだ。

 ではこのキャリイ、いったいいくらで落札されたのかというと、なんと7840ドル、当時のレートで83万円という高額プライスをつけた。なお、現在のレートでは126万円相当になる。筆者はアメリカ人ではないので、どれだけ認知された悪党かわからないが、ひょっとすると「あのナヒブ・カーンの元愛車だぜ!」などと箔が付いたのかもしれない。ただ、彼がどのようにこのキャリイを使っていたのかは不明である。

 なお、この「エルクハート・コレクション」では過去に本媒体で取り上げた、「パトカー仕様のスバル360」などを含む日本車6台が出品されていた。

 世界的名車に混じって日本のなんの変哲もない軽トラックが出品されて、流れずに落札されたのはなんとも誇らしいが、借金返済の担保にしてはあまりにも足りなすぎる額であった。ナヒブ・カーンがこの軽トラの落札額を見て何を思っているのか、我々は知る由もない。


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WEB CARTOP 井上悠大 INOUE YUTAI

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