【試乗】高級で安全で先進的! メルセデス・ベンツ新型Sクラスはすべてを手に入れたセダンの理想郷だった (2/2ページ)

エンジンは終わっていない

 パワートレインの戦略も、じつにメルセデスらしい冷徹なリアリズムに満ちている。 世のなかのEVシフトに対して、彼らはあえて内燃機関(ICE)を極限まで磨き上げてきた。もちろん全車ISG付きの48Vマイルドハイブリッド。

 アウトバーンでV8ツインターボを踏み込んだときの、新幹線のような怒涛の加速も素晴らしかった。新規開発のV8はフラットプレーンというレーシングカーが使う方式。だが、振動が伴うので、いままでは高級車は避けてきた。しかし、バランサーシャフトを採用することで、レスポンスがよく振動が少ないV8が完成した。

 個人的に一番シビれたのは直列6気筒のクリーンディーゼル。 アイドリングなんか、いわれなきゃディーゼルって絶対にわからないほど静か。1500rpmもまわせば、750Nmのトルクが湧き出てきて、2トン超えの巨体を軽々と前に押し出す。

 ここで僕らが考えなきゃいけないのは、自動車の「動脈(製造)」から「静脈(リサイクル・資源循環)」までを含めたライフサイクル全体の話。デカいバッテリーを積めばエコかって、そんな単純な話じゃない。 極限までクリーンにしたエンジンと電動化の組み合わせこそが、現時点でもっともサステナブルな「大人の選択肢」ではないだろうか。新型Sクラスは、そのリアルを僕らに突きつけている。

やっぱり王者はブレない

 SUV全盛のこの混沌とした時代に、「自動車の動的質感、快適性、そして安全性を極めるなら、やっぱりセダンというパッケージが理想形」という、メルセデスからの強烈なメッセージは明確だ。後席の圧倒的な安らぎ、ドライバーズカーとしての対話の楽しさ、MB.OSの適応力、そして内燃機関の圧倒的な熟成。140年間トップを走り続けてきた王者のプライドを、これでもかって見せつけられた。

 時代がどれだけ揺れ動こうとも、ブレない軸がここにある。 セダンの本流は、いまも、そしてこれからも、変わらない。


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