どの車種にも当たり前にハイブリッドが用意されるいま……プリウスのような「ハイブリッド専用車」の存在意義はどこにあるのか? (2/2ページ)

ハイブリッドならではの魅力に特化して生き残る

 ハイブリッドの付加価値は、まずモーター駆動を生かした機敏な加速感覚だ。5代目の現行プリウスは、主力ユニットのエンジンを2リッターに拡大して動力性能を向上させた。エンジンとモーターの相乗効果によるシステム最高出力は、1.8リッターの4代目は122馬力だったが現行型の2リッターは193馬力に達する。現行型は先代型の1.6倍だ。

 そして、現行プリウスが動力性能を高めたなら、走行安定性も向上させたい。そこで5代目は前述のとおり全高を下げて全幅は広げ、楽しくて安心できる運転感覚を実現させた。後席の狭い5ドアクーペ風のボディも、走りのプリウスを重視したデザインだ。

 進化したソーラー充電システムの採用も同様だ。ルーフ上にソーラーパネルを設置して、1年間に約1200kmを走行できる。自給自足による走行を可能にしたことも、5代目プリウスの電動車としての付加価値だ。以上のように、プリウスの4代目と現行型の5代目では、価値観が大きく異なる。モーター駆動の付加価値を追求することで、トヨタの電動車の象徴的な商品になった。燃費は機能のひとつに過ぎない。

 それならアクアはどうか。プリウスのような知名度はなく、機能的にはヤリスのロング版だ。ヤリスやヤリスクロスを含めて、コンパクトなハイブリッドが増えたいま、アクアは廃止する方法もあっただろう。

 それでも環境技術を重視する企業では、社用車として使えるコンパクトなハイブリッド専用車も必要だ。以前はプリウスがその役目を果たしたが、いまはボディが大きすぎる。コンパクトなハイブリッド専用車というアクアのニーズは残っている。また、コンパクトカーは需要が多い。ヤリスハイブリッドだけでは、コンパクトハイブリッドの品ぞろえが足りないという見方もできる。

 とくにヤリスはハイブリッドを含めて後席が狭く、乗り心地も硬めだ。ヤリスハイブリッドの上級版として、ホイールベースの長いアクアが求められている事情もある。日産ノートの上級に位置するノートオーラのような存在だ。以上のように、プリウス、ヤリスともに、それぞれ異なる事情があり、ハイブリッド搭載車が増えたいまでも専用車としてラインアップが残されている。


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渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2026-2027日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
趣味
13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
好きな有名人
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